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シリコンチューナ用の1チップIC、
デジタル/アナログテレビ放送に対応

[issued: 2009年7月3日]
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シリコンチューナとCANチューナの比較
写真1 シリコンチューナとCANチューナの比較
上が「Si2170」を使って試作したシリコンチューナ、下が一般的なCANチューナである。
Tyson Tuttle氏
写真2 Silicon Lab社のTyson Tuttle氏

 米Silicon Laboratories(以下、Silicon Lab)社は2009年6月、地上波のデジタルテレビ放送とアナログテレビ放送、双方の受信に対応するチューナIC「Si2170」を発表した。標準的なCMOSプロセスを使って、デジタルテレビ放送のチューナ、アナログテレビ放送のチューナ、アナログテレビ放送の復調器という3つの機能を1チップに搭載することにより、チューナモジュールの大幅な小型化に貢献できるという。1万個購入時の単価は3.95米ドル。初年度は年間1000万個の出荷を見込む。

 テレビチューナモジュールとして一般的なのはCANチューナと呼ばれるもので、個別部品を使って構成される。デジタルとアナログのテレビ放送に対応するCANチューナの場合で、約200個の部品が使われ、面積は25cm2、厚さは10mm以上程度となる。これに対して、Si2170のように、多くの機能を1つのICにまとめたチューナICを用いたチューナモジュールは、シリコンチューナと呼ばれている。Silicon Lab社が、Si2170を使って試作したシリコンチューナは部品の数が13個で、面積が2.2cm2、厚さは2.0mmと大幅な小型化を実現している(写真1)。また、シリコンチューナは、CANチューナのように金属ケースで封止する必要がないこともメリットとなる。さらに、使用される部品数が大幅に減ったことにより、製造コストも削減できるという。

 しかし、現在のデジタルテレビ用チューナの市場は、CANチューナが99%のシェアを占めると言われている。シリコンチューナの採用は、パソコンや一部のセットトップボックスにとどまっている。Silicon Lab社のバイスプレジデントでブロードキャスト製品担当ゼネラルマネジャを務めるTyson Tuttle氏(写真2)は、この原因について「デジタルテレビ放送に対応した既存のチューナICを使ったシリコンチューナが、CANチューナに比べて実用条件下での受信品質が劣っているからだ」と説明する。「しかし、Si2170を使えば、CANチューナよりも高い受信品質を持つシリコンチューナを実現できる」(同氏)という。

 同社は、受信品質を高めるために、感度とブロッキングという2つの性能指標について、最適化できるような回路設計を行った。一般に、感度が高ければ、微弱な放送波でも良好な受信を行うことができる。一方、ブロッキング性能が高ければ、不要な信号が飛び交う中でも、選択したい放送波を受信しやすくなる。この2つの性能指標は、トレードオフの関係にあると言われている。これに対して、同社は、Si2170内のフロントエンド回路において、受信アンテナの直後に接続されるLNA(低ノイズアンプ)に、Qの高いトラッキングフィルタを一体化させることにより、感度とブロッキングの性能指標を両立させることに成功した。同社は、Si2170を採用したシリコンチューナの試作品を使い、北米のデジタルテレビ放送規格であるATSCでの感度とブロッキング性能を評価した。その結果、感度は、ATSCの要求仕様である-83dBmに対して-87.5dBmと、4.5dBのマージンを確保できていることが確認できた。この感度は、一般的なCANチューナよりも約2dB良好な値であるという。一方のブロッキング性能については、CANチューナと同等以上で、ATSCの要求仕様に比べて20dB以上のマージンが確保できていた。さらに、競合他社のチューナICでブロックできていない信号も、きちんとブロックできていることを確認した。

 世界各国の地上波テレビ放送は、アナログからデジタルへの移行期にある。このため、デジタル放送に対応するテレビを新たに設計する場合にも、デジタル放送を受信できない地域での利用に備えて、アナログ放送を受信する機能が必要になる。Si2170のデジタルテレビ放送のチューナ機能は、北米のATSC(Advanced Television Systems Committee)、欧州のDVB(Digital Video Broadcasting)-T、日本のISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)-Tに対応している。また、アナログテレビ放送の受信と復調の機能についても、NTSC(National Television System Committee)、PAL(Phase Alternating Line)、SECAM(Sequentiel couleur a memoire)など世界で利用されている各規格に対応している。Tuttle氏は、「デジタル、アナログにかかわらず、全世界のテレビチューナ市場に対応するSi2170は、今後急成長するであろうシリコンチューナ市場で有力だと考えている。また、厚さが10mm以下のテレビパネルの内部にチューナをも内蔵するようなiDTV(Integrated Digital TV)では、Si2170のような製品を採用した薄型のシリコンチューナが必須になる。2010年には、テレビ用のCANチューナ市場の10%がシリコンチューナに移行し、2012年にはテレビ用チューナの半数以上をシリコンチューナが占めるようになっているだろう」と期待する。

 なお、Si2170を使ってシリコンチューナを構成する場合、デジタルテレビ放送用の復調器については、別途ICを用意する必要がある。同社は、すでに欧州のDVB-Tに対応する復調器IC「Si2165」を発売しており、今後は他地域のデジタルテレビ放送規格に対応する復調器ICも追加対応していく予定である。また、2010年に、Si2170とデジタルテレビ放送用の復調器機能を1チップ化した製品の投入を計画している。さらに、この1チップ化したICについて、2011年ごろをめどに、製造プロセスを現行の110nmから65nmに移行した製品を開発しているという。

 Si2170の主な仕様は以下のとおり。パッケージは7mm角の48端子QFN。電源電圧は1.8Vと3.3V。消費電力は1.0W。受信可能な周波数範囲は43MHz~1002MHz。

(朴 尚洙)

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