写真1 The MathWorks社のJim Tung氏
写真2 MathWorks Japanの梨澤利隆氏
米The MathWorks社は2009年6月、日本法人であるマスワークス合同会社(以下、MathWorks Japan)が2009年7月1日から営業を開始するのに先立ち、都内で記者会見を行った。会見には、米本社でフェローを務めるJim Tung氏(写真1)とMathWorks Japanの社長に就任した梨澤利隆氏(写真2)が出席し、日本国内における事業展開や、MathWorks社の主力製品であるグラフィカル開発環境「MATLAB/Simulink」の今後の方向性などについて説明を行った。
日本国内におけるMATLAB/Simulinkの販売/サポートは、1988年から2009年6月末までの21年間、サイバネットシステムが行っていた。しかし、2009年7月からは、MathWorks社の傘下にあるMathWorks Japanによる直販体制に移行する。直販体制への移行の理由についてTung氏は、「当社は、MATLAB/Simulinkに関するFAQやユーザー事例などのデータベースを保有している。ただし、代理店であるサイバネットシステムはその一部にしかアクセスできないため、十分なサポートができていなかった可能性がある。もちろん、サイバネットシステムが日本国内における知見を基に手厚いサポートを行ってきたことは理解している。しかし、直販体制になれば、日本だけでなくグローバルレベルのノウハウを利用したサポートが可能になり、顧客の利便性が増すことになると考えている。また、当社にとっては、高度な技術を持ち、規模も大きい日本の自動車メーカーや電機メーカーとより緊密に連携することができることも大きなメリットになる」と説明する。
MathWorks Japanは、東京都港区に本社を置き、名古屋と大阪に事務所を設立する。従業員数は約120人。梨澤氏は、「これは、サイバネットシステムでMATLAB/Simulinkにかかわっていた人員数よりも多い。また、サイバネットシステムに在籍していたMATLAB/Simulinkの技術スタッフは、そのほとんどがMathWorks Japanに転籍した。MathWorks Japanの従業員の半分強がサイバネットシステムから転籍者であり、サポートの継続性は維持できると考えている」と語る。直販体制への移行についても、「顧客に迷惑のないかたちでスムーズに進んだ」(同氏)という。また、2002年から毎年12月に開催していたユーザー会『MATLAB Expo』は、2009年も開催する計画である。
国内におけるMATLAB/Simulinkの今後の展開については、モデルベース設計の導入レベルによって大まかに3つに分けられる顧客のグループに対して、それぞれ取り組みを強化していく。そのキーワードは、「早期検証の適用」(Tung氏)である。まず、自動車/航空宇宙など、モデルベース設計の導入が進んでいる顧客には、システム要件の導出と設計プロセスの連携を促進することにより、要件の妥当性を早期に保証できるようにする。次に、プリンタやFA(Factory Automation)機器の制御システムなど、小/中規模の開発チームでモデルベース設計を利用している顧客には、モデルを使ったシステム全体のシミュレーションにより、複雑化しつつある制御アルゴリズムの品質を確保できるようにする。最後に、数理解析ソフトウエアMATLABのみをアルゴリズムの開発に利用しているような顧客には、MATLABやSimulink上でテストベンチを組み、実装時などの検証に再利用できるようにする。
(朴 尚洙)