新日本無線は2009年6月、イコライジング機能を搭載したDSP「NJU26124」を発表した。24ビット、61MIPS(1MIPSは1秒間に100万回の命令を処理する能力)の既存の固定小数点DSPコアに、FIR(Finite Impulse Response)フィルタやPEQ(パラメトリックイコライザ)、車載用途などで用いられるタイムアライメント用のディレイ機能を実装した製品である。テレビやスピーカシステム、カーオーディオといった異なる用途に対応できるようにすることを狙いとした製品である。6.5mm×6.4mm×1.15mmの24端子SSOPで提供される。すでにサンプル出荷を開始しており、量産出荷は2009年7月より月産10万個の規模で開始する。サンプル価格は300円。
NJU26124は、用途に合わせて2つのモードをコマンドで切り替えて使用する。2チャンネル(ステレオ)に対応したAモードと、6チャンネルまで対応可能なBモードだ。
Aモードの動作は、テレビ受像機などの小型スピーカの音質を補正するためのものであり、512タップのFIRフィルタと3バンドのPEQを使用する。FIRフィルタは、主にスピーカの周波数特性をフラットにするために使用する。FIR型のフィルタであるため、直線位相の周波数特性を実現できること、512タップであるため高い周波数分解能で高精度に周波数特性を調整できることを特徴とする。競合他社品では、IIRフィルタを採用しているものや、タップ数が64タップや128タップのものが多いという。一方のPEQは、FIRフィルタで平坦化した波形に任意の効果を与えるためのもので、例えば、低音域を少し強調するといったことが行える。
Bモードの動作では、PEQとディレイ機能が有効になる。6チャンネルまで対応できるため、カーオーディオやホームシアターなどの用途に適しているという。PEQは、2チャンネル出力時は最大26バンド/チャンネル、6チャンネル出力時は最大8バンド/チャンネルで調整可能である。また、周波数は1Hz単位、ゲインは0.2dB単位で細かく調整ができる。PEQのほかに、LPF(ローパスフィルタ)、HPF(ハイパスフィルタ)、LSF(Low Shelf Filter)、HSF(High Shelf Filter)にも対応しており、設計の自由度が高い。一方、タイムアライメント用のディレイ機能とは、カーオーディオのようにリスナーとスピーカとの距離が一定ではない場合に、各スピーカからリスナーに音が届く時間が同じになるよう調節するというものである。NJU26124では、6チャンネル出力時で最大18msec/チャンネルの調整が可能となっている。
NJU26124の電源電圧は3.3Vだが、5.0V系のマイコン出力を直接入力することができる。I2Cに対応した制御インターフェースを備えている。オーディオインターフェースは24ビットのI2、右詰め、左詰めに対応する。
(村尾 麻悠子)