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マルチモニター機能に1チップで対応可能な
DisplayPort IC

[issued: 2009年6月16日]
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「VMM1300」
写真1 「VMM1300」

 日本アイ・ディー・ティー(以下、日本IDT)は2009年6月、DisplayPortを利用してマルチモニターを実現するIC「VMM1300」(商標は「PanelPort ViewXpand」)を発表した(写真1)。一般消費者向けのパソコン用途のほか、金融、行政、ゲーム機器、メディアといった市場をターゲットとする。11mm×11mmの148端子QFNで提供される。1万個購入時の単価は15米ドル。本格的な量産は、2009年8月に開始する予定である。

 DisplayPortは、パソコンとディスプレイの接続用デジタルインターフェースの規格である(関連記事)。VGA(Video Graphics Array)やDVI(Digital Visual Interface)のコネクタに代わる次世代のデジタルインターフェースと位置付けられている。デスクトップ型パソコンのモニターやノート型パソコンのほか、テレビ受像機においてLVDS(Low Voltage Differential Signaling)に代わる内部接続としても使用可能だ。また、パケットベースの独自のアーキテクチャにより、単一のコネクタで複数のモニターをサポートすることができる点も特徴となっている。

 従来、マルチモニターを実現するには、専用のビデオカードやグラフィックスカードを使ったり、USBに接続するアダプタなどを使ったりすることで対応していた。このような方法をとると、コストや消費電力の面でデメリットが多いことに加え、USB接続では帯域幅が非圧縮データの場合に不十分であったり、圧縮データを用いると画質が低下したり、CPUの負荷が大きくなりすぎたりといったことも問題になっていた。

 VMM1300は、受信回路、ロジック回路、送信回路を1チップに集積した製品である。これらのうち、ロジック回路はDisplayPortのプロトコルをデコードする役割を担う。DisplayPort 1.1aのほか、VESA(Video Electronics Standards Association)のDirect Drive MonitorやHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection) 1.3、EDID(Extended Display Identification Data) 1.4に準拠しており、米Apple社の「MacBook」をはじめ、DisplayPortに対応したノート型パソコンやデスクトップ型パソコンであれば、容易に利用できる。DisplayPortのプロトコル処理をハードウエアで行うため、GPU(Graphics Processing Unit)やディスプレイドライバといったソース機器を変更することなく使用できる上に、WHQL(Windows Hardware Quality Labs)の認定が不要であることも特徴となっている。

 1系統の入力と3系統の出力を備えているので、1チップのVMM1300を搭載したドングルを使用すれば、そのドングル1個で3台までのモニターを接続することができる。また、カスケード接続(デイジーチェーン方式)の構成をとった場合、DisplayPort 1.1aの帯域幅(10.8ギガビット/秒)が対応する範囲内であれば、モニターを何台でもつなぐことが可能だ(図1)。デイジーチェーン接続の場合、VMM1300を各モニターの内部に実装する。出力に使用するのは2系統のみで、1本はモニター内部のプロセッサに、もう1本は次のモニターの入力部分に接続する。

デイジーチェーン接続する際の概念図
図1 モニターをデイジーチェーン接続する際の概念図
デモの様子(その1)
写真2 デモの様子(その1)
3台のモニターにまたがって、1枚の画像を表示している。
デモの様子(その2)
写真3 デモの様子(その2)
Excelなどのアプリケーション画面を、2台のモニターにわたって表示することもできる。

 また、VMM1300はDisplayPortのケーブルを介して供給される1.5Wのバスパワーで稼働するため、ACアダプタも不要である。マルチモニター用のグラフィックスカードには、1枚で100Wの電力を消費するものもあるので、そうしたカードに比べると、VMM1300は消費電力の面でも優位だという。

 写真2、写真3は、3台までのモニターを接続できるドングルを使用してマルチモニターを実現したデモンストレーションの様子である。写真2のように3台のモニターにまたがって1枚の画像を表示することも、写真3のように複数の画像やデータを3台にまたがって表示することも可能だ。このほか、どのモニターにも同じ画像を表示することもできる。あるいは、3台のモニターを接続している際、1台に不具合が発生して表示が行えなくなってしまっても、残りの2台で3台のときと同様に画像を表示するよう自動的に切り替えるといったことも実現できるという。

 なお、VMM1300は動画には対応しているが、音声はサポートしていない。音声については、次世代のViewXpandでの対応を考えているという。

 米IDT社でバイスプレジデント兼ビデオ&ディスプレイ・オペレーション担当ゼネラルマネージャを務めるJi Park氏は、「現状では、DisplayPortはハイエンド向けというイメージが強い。そのため市場の規模としては小さいが、これから伸びていく分野だと考えている。マルチモニターを実現するソリューションを提供することで、市場のニーズに応えていきたい」と語った。また、日本IDTの担当者も「USB 3.0が普及したとしても、圧縮やドライバが必要になるといったこれまでの課題が解消されるわけではない。その意味で、(DisplayPortに対応している)ViewXpandは有利だ」としており、従来からのマルチモニターに対する優位性を強調した。

(村尾 麻悠子)

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