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GPSシステムの維持と向上、課題はあるも混乱は不要

[issued: 2009年6月17日]
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 米国連邦議会行政監査局(GAO:General Accountability Office)が、GPS(Global Positioning System全地球測位システム)に関するレポートを発表した。同レポートは、「広く利用されている当該システムが軍事用途と一般用途の両方の期待に応えるには、維持と向上に関する多くの課題がある」と指摘している。同レポートは、多くの人々に混乱を与えている。筆者は、急速に変化するグローバルなインターネット社会において、同レポートが伝える最悪のシナリオの一部、その悲観的な見出しは、GPSの信頼性を大きく、かつ不当に害していると考えている。

 筆者らは、GPSのメリットを一般市場にもたらすという構想を持って、1995年に米SiRF Technology社を設立した。現在、当社はGPS技術の主要企業として民生用電子機器向けに同技術を提供している。GAOがレポートで取り上げた問題への取り組みは必要だが、今のところ十分に機能しているGPSシステムの堅牢性を偏りのない視点で見ることも必要だろう。筆者は、GPSの軍用利用については説明できないが、一般ユーザーによる利用という観点から事実を適切にとらえ、GPSの戦略と課題の別の側面に目を向けることが重要だと考えている。

短期的には混乱は不要

 GPSは極めて信頼性の高いシステムである。一般論として、期待どおり、あるいは期待以上に働くシステムであると言えるだろう。米空軍はGPSシステムを完全に運用するには、24基の衛星が必要だとしているが、われわれはもっと多くの衛星を使えるようになるだろう。なぜなら、軌道上にあるほとんどの衛星は、当初の予測よりはるかに寿命が長いことが証明されているからだ。このことは、衛星が堅牢である証拠であって、混乱の前兆ではない。衛星はいずれ動作しなくなるが、すべての衛星が突然、同時に機能しなくなるとは誰も考えていない。

 GPSシステムは1995年に24基の衛星で完全に運用できることが明白になった。そして、クリントン米大統領が、民間信号の精度を100mの範囲に制限する意図的な劣化(SA:Selective Availability)を解除したのは、2000年のことである。GPSは、それ以前にも長い間、多くの軍用/商用アプリケーションに利用されてきた。現在、GPS信号の強度は、一般に仕様の値を上回っている。また、受信機の感度も1990年代半ばより大幅に改善された。さらに、SiRF社などが優れたアルゴリズムを開発した結果、より少ない数の衛星で、信頼性の高い位置情報を提供できるようになった。

 シミュレーションを行ったGAOのアナリストとの議論の中で、われわれは、GPS IIIの計画がこれ以上遅れなければ、95%の確率で2024年までに衛星の数は22基以上になることを確認した。現在の水準に比べて性能はやや落ちるかもしれないが、最新のGPS受信機は、現在より大幅に少ない数の衛星で、ほとんどの民生アプリケーションを機能させることができるだろう。

長期的問題への取り組みは必要

 GPSは、米国防総省が出資/管理するインフラプログラムの中で、最も成功したものの1つであろう。GPSは、数億人の人々の生活に不可欠なものとなった。多くの場合、障害物の多い場所の情報や屋内の正確な位置情報の獲得など、設計時には予想もされていなかったアプリケーションで利用されている。カーナビゲーションシステムや緊急通報への対応、無線ネットワークの同期など、GPSは企業/一般向けのさまざまなアプリケーションに適用され、われわれの日常生活に密着している。故障するまでGPSを利用していたことを知らなかったというケースも多い。ユーザーは、GPSが、世界中のどこででも、室内でも室外でも、あらゆる気象条件の下で使えることを望んでいる。

 GPSの課題は、この優れたシステムの信頼性を維持/向上させることだけではない。軍事用途と一般消費者向け用途の両方の期待に応えるべく、能力を高めることも必要だ。GPSの現在の用途は主に位置情報の取得であるが、高い性能が見込まれるロシアの「Glonass」や欧州の「Galileo」、中国の「Compass」といった衛星システムからの影響も無視できないことを、われわれは考慮しておく必要がある。新しいニーズに対応するために、このような必要不可欠な基幹設備に適時に投資することは、将来の混乱を避けるためにも非常に重要である。さらに、GAOが指摘するように、将来の衛星航法システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)の主要システムとしてGPSの主導的地位を維持するためにも、米国政府高官はGPSインフラの開発と管理の簡素化に目を向けることが必要なる。

(Kanwar Chadha、SiRF Technology社)

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