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NECエレが垂直磁化方式のMRAMを開発、
微細プロセスに適したセル構造を実現

[issued: 2009年6月23日]
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 NECとNECエレクトロニクスは2009年6月、微細化に適したMRAM(磁気抵抗メモリー)を開発、動作実証を完了したと発表した。同社は、システムLSIに集積するMRAMの実用化を目指し、研究開発に取り組んできた。MRAMは、書き込み回数が無制限、0.5Vという低い動作電圧でも動作する、不揮発性であるといった特徴を持っており、システムLSIへ組み込むことで大きな利点を得られると考えているからだ。今回、動作実証に成功したことで、実用化に向けて大きく前進したという。

 今回開発したMRAMのポイントは2つある。

 1つ目は、垂直磁壁セルを開発したことである。MRAMにおいて、データの記憶は、強磁性体固定層、絶縁体トンネル層、強磁性体自由層で構成されるMTJ(磁気トンネル結合)によって行われる。これらのうち、強磁性体自由層とは、同じ方向を向く性質のある小磁石の集合である。その自由層の両端を強力な磁石などで固定すると、自由層内部では、磁力の方向が急に変化する領域が形成される。この領域が磁壁である。磁壁を電流のスピントルク(電子間相互作用)で移動させ、磁壁の位置により0、1を表せるようにMTJを形成したものが磁壁セルである。NEC/NECエレクトロニクスは、2007年6月の時点では、強磁性体自由層の横方向(X軸方向)を向いた面内磁壁セルを採用していた。それに対し、両社が新たに開発した垂直磁壁セルは、磁力の方向を縦方向(Y軸方向)に向くようにしたものである。垂直磁壁セルを使用するに当たっては、強磁性体自由層の材料をニッケル鉄(NiFe)から、スピン分極率の高いコバルトニッケル(CoNi)多層膜に変更した。垂直磁壁セルを使用したことで、面内磁壁セルに比べて、電流密度が1/10に低減したことに加えて、保持特性も向上したという。

 2つ目のポイントは、データの書き込みにスピントルク方式を採用したことだ。スピントルク方式では、磁石のような性質を持つ伝導電子と強磁性体自由層内部の小さな磁石の相互作用によって磁力の方向がそろい、電流が流れて書き込みを行うという仕組みになっている。もう1つの書き込み方式である磁場書き込みを用いた場合、プロセスの微細化を進めて磁性体素子の幅を狭くしたりすると、逆に書き込み電流が増加すると予測されていることから、このスピントルク方式の採用に至った。今回のMRAMでは、約100nmの磁性体素子幅で0.2mA以下の書き込み電流を確認したという。これは、システムLSIに混載できるMRAMとして、同社が目標としてきた電流値でもあった。

 今回のMRAMは、2個のトランジスタと1個のMTJを用いた2T1MTJセル構成の3端子素子となっている。読み出し電流の経路と書き込み電流の経路を分離したことで、制御を単純化することが容易になり、その結果、高速化や設計の容易化なども見込めるという。実際に、50m/s(500MHz相当)で磁壁が移動したことが実証されており、素子を縮小することでさらなる高速化も図れることになる。

(村尾 麻悠子)

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