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「1チップで広帯域をカバーしてコストを削減」
——ADI社がRF ICの“ブロードバンド”対応を推進

[issued: 2009年6月30日]
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ADI社のPeter Real氏
写真1 ADI社のPeter Real氏

 米Analog Devices(以下、ADI)社は2009年6月、東京都内で記者発表会を開催し、同社のRF IC事業について説明を行った。同社は、1つのデバイスでさまざまな通信規格や周波数帯域に対応できる“ブロードバンド”のRF ICの展開に注力しており、その最新製品を紹介するなどした。

 ADI社は、15年以上前からRF ICを開発しており、無線通信のフロントエンドからバックエンドに至るすべてのシグナルチェーンについて製品を提供している。特に、PLL(位相同期回路)シンセサイザやRFディテクタなどでは高いシェアを持つ。同社でRFおよびネットワーキングコンポーネンツ事業部担当バイスプレジデントを務めるPeter Real氏(写真1)は、「現在、無線通信規格は、GSM(Global System for Mobile Communications)に代表されるように、2G(第2世代)の規格と3Gの規格が並存している。今後は中国の独自規格であるTD-SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)や、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)などがさらに加わることになる。従来、これらの無線通信機器の通信回路を設計する際には、特定の通信規格や周波数帯域で用いることを前提に開発されたナローバンドのRF ICを利用するのが一般的だった。しかし、これだけ多数の通信規格が存在する現在、この手法ですべての通信規格に対応しようとすると、開発コストが大幅に増大してしまう」と語る。

 この現状に対して、同社が注力しているのが、1つのデバイスでさまざまな通信規格や周波数帯域をカバーするブロードバンドのRF ICである。「ブロードバンドのRF ICの採用すれば、無線通信機器の開発コストを削減できるはずだ。さらに、当社はブロードバンドのRF ICの高集積化も進めており、それらを利用すれば部品点数や基板面積の縮小なども可能になる」(Real氏)という。

 ADI社は2008年後半から、ブロードバンドに対応するRF ICの新製品を投入し続けている。2008年10月に発表した、複数のVCO(電圧制御発振器)を内蔵したPLLシンセサイザ「ADF4350」は、137.5MHz~4.4GHzの範囲に対応する。同月に発表したデュアルアクティブミキサー「ADL5802」は、高いダイナミックレンジで300MHz~6GHzの周波数変換に対応する。2009年6月には、RFドライバアンプ「ADL5604」を発表した。同製品は、1Wの消費電力で400MHz~2.7GHzの動作周波数範囲に対応しつつ、消費電流は325mAと少ない。同じく同月には、100MHz~9GHzの範囲で測定できるRMS(最小2乗平均)ディテクタ「ADL5902」や、50MHz~4GHzで動作するRF/IF(Intermediate Frequency)ゲインブロック「ADL5601/ADL5602」を発表している。

無線通信機器の評価環境のデモンストレーション
写真2 無線通信機器の評価環境のデモンストレーション

 ADI社がブロードバンドのRF ICと併せて展開を強化しているのが開発ツールである。同社は2009年に、従来から無償で提供していたデバイスシミュレーション/評価ツール「ADIsimシリーズ」に、RF ICの特性を評価できる「ADIsimRF」を追加した。また、PLLシミュレーションツール「ADIsimPLL」もVersion 3.1にバージョンアップし、機能を拡充している。

 記者発表会では、同社が提供する無線通信機器の評価環境のデモンストレーションも行った。この評価環境の中核にあるのが、無償ツールの「VisualAnalog」である。同ツールを用いれば、通信回路の構成をGUI(Graphical User Interface)ベースで表示しながら、その通信回路で用いる信号を生成/送信したり、受信した信号の波形を表示したりすることができる。このVisualAnalogを組み込んだパソコンと、データパターンジェネレータ、送信側の評価ボード、受信側の評価ボード、FPGAにより受信データをFFT(高速フーリエ変換)処理するボードを接続することで、無線通信機器の送受信の状態を評価することができる(写真2)。同社が提供するデータパターンジェネレータの価格は5000米ドルで、「高価な計測器で構成する場合と比べて、非常に安価に評価環境を構築できる」(ADI社)という。

(朴 尚洙)

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