写真1 ADI社のPeter Real氏
米Analog Devices(以下、ADI)社は2009年6月、東京都内で記者発表会を開催し、同社のRF IC事業について説明を行った。同社は、1つのデバイスでさまざまな通信規格や周波数帯域に対応できる“ブロードバンド”のRF ICの展開に注力しており、その最新製品を紹介するなどした。
ADI社は、15年以上前からRF ICを開発しており、無線通信のフロントエンドからバックエンドに至るすべてのシグナルチェーンについて製品を提供している。特に、PLL(位相同期回路)シンセサイザやRFディテクタなどでは高いシェアを持つ。同社でRFおよびネットワーキングコンポーネンツ事業部担当バイスプレジデントを務めるPeter Real氏(写真1)は、「現在、無線通信規格は、GSM(Global System for Mobile Communications)に代表されるように、2G(第2世代)の規格と3Gの規格が並存している。今後は中国の独自規格であるTD-SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)や、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)などがさらに加わることになる。従来、これらの無線通信機器の通信回路を設計する際には、特定の通信規格や周波数帯域で用いることを前提に開発されたナローバンドのRF ICを利用するのが一般的だった。しかし、これだけ多数の通信規格が存在する現在、この手法ですべての通信規格に対応しようとすると、開発コストが大幅に増大してしまう」と語る。
この現状に対して、同社が注力しているのが、1つのデバイスでさまざまな通信規格や周波数帯域をカバーするブロードバンドのRF ICである。「ブロードバンドのRF ICの採用すれば、無線通信機器の開発コストを削減できるはずだ。さらに、当社はブロードバンドのRF ICの高集積化も進めており、それらを利用すれば部品点数や基板面積の縮小なども可能になる」(Real氏)という。
ADI社は2008年後半から、ブロードバンドに対応するRF ICの新製品を投入し続けている。2008年10月に発表した、複数のVCO(電圧制御発振器)を内蔵したPLLシンセサイザ「ADF4350」は、137.5MHz~4.4GHzの範囲に対応する。同月に発表したデュアルアクティブミキサー「ADL5802」は、高いダイナミックレンジで300MHz~6GHzの周波数変換に対応する。2009年6月には、RFドライバアンプ「ADL5604」を発表した。同製品は、1Wの消費電力で400MHz~2.7GHzの動作周波数範囲に対応しつつ、消費電流は325mAと少ない。同じく同月には、100MHz~9GHzの範囲で測定できるRMS(最小2乗平均)ディテクタ「ADL5902」や、50MHz~4GHzで動作するRF/IF(Intermediate Frequency)ゲインブロック「ADL5601/ADL5602」を発表している。