写真1 日立が試作した耐圧3kVのSiC-SBDとパワーモジュール
日立製作所は2009年4月、炭化ケイ素(SiC)を用いた耐圧が3kVのショットキーバリアダイオード(SiC-SBD)を開発したと発表した(写真1)。また、同社はこのSiC-SBDを搭載したパワーモジュールを試作し、従来のSi-pnダイオードと比較して鉄道車両インバータの電力変換損失を3割ほど低減できることを検証したという。
従来のSBDでは、ダイオードの導通時の損失を低減するためにn型ドリフト層の不純物濃度を上げて低抵抗化すると、ショットキー接合部の電界が強くなり、逆方向に高電圧をかけた際の漏れ電流が増大してしまう問題があった。すなわち、導通損失の低減と漏れ電流の抑制を両立することが困難であった。それに対し、日立は、ショットキー接合部の電界を緩和させるために、ショットキー接合とpn接合を組み合わせたJBS(Junction Barrier Schottky)構造を採用し、高品質な電極/SiC界面の形成技術を開発した。その結果、導通損失の低減と漏れ電流の抑制を両立することが可能となり、耐圧3.3kV、電流10A、導通電圧2VのSiC-SBDを開発することに成功したという。
同社はまた、従来Si-IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)とSi-pnダイオードで構成されていた鉄道車両インバータ用モジュールにおいて、ダイオードを耐圧3kVのSiC-SBDに置き換えたパワーモジュールを試作した。同モジュールと高速駆動技術を併用することで、従来のパワーモジュールと比べてターンオン損失を約1/6に、リカバリ損失を約1/10に低減、インバータの電力変換損失を3割ほど低減した。同社は今後、パワーデバイスおよびインバータシステムの研究開発をさらに進め、鉄道車両をはじめ、産業機器や各種電源装置への応用展開を図るという。