図1 HD映像を伝送する車載エンターテイメントシステムの比較
(左)はMOSTを使う場合、(右)は「MB88395」を使う場合である。MB88395を使うことで、部品コストとワイヤーハーネスの本数を大幅に削減できる。
現在、情報系車載LAN規格としては、欧州の自動車メーカーを中心に「MOST(Media Oriented Systems Transport)」が利用されている。しかし、HD映像の多重伝送を行うシステムを構成する場合に、このMOSTに替えて1394 AutomotiveベースのMB88395を利用することにより、部品コストと配線に用いるワイヤーハーネスの量を削減できる(図1)。「条件にもよるが、最大で部品コストを30%、関連するワイヤーハーネスの本数を70%削減できる」(富士通マイクロ)という。また、MOST準拠の通信コントローラで、Blu-rayディスクで用いられているH.264ベースの映像を扱う場合、外付けでエンコーダ/デコーダチップとフレームメモリーが必要である。加えて、映像の圧縮/伸張で生じる遅延時間は約400msに達する。これに対して、MB88395では、映像の圧縮/伸張を1チップで行うことができ、その遅延時間は2ms~3msに抑えられる。
MB88395は、動作電圧が3.3V±0.3V、動作温度範囲が-40~95℃。16mm角、224端子のFBGAパッケージで供給される。
また、富士通マイクロは、今後も1394 Automotiveに準拠する製品のラインアップを拡大する方針である。具体的には、複数の通信チャンネルを備える製品や、通信コントローラをマイコンに搭載したSoC(System on Chip)、車載カメラ用の製品などである。
一般的に、車載LAN規格は、自動車の運転機能にかかわる制御系と、カーオーディオやカーナビゲーションに用いる情報系の2分野に分けられる。1394 Automotiveは、パソコンなどに用いられているシリアルバス規格「IEEE 1394」をベースにした情報系の車載LAN規格である。規格の策定は、IEEE 1394の規格化を行う1394 Trade Associationが進めている。転送速度は、IEEE 1394の最新仕様IEEE 1394-2008に準拠して、400Mbps~3.2ギガビット/秒までが規格化されている。
(朴 尚洙)