写真1 パナソニックのGaN結晶を成長させたSiウェーハ
損失の少ない次世代パワー半導体として期待されているGaN(窒化ガリウム)デバイスの開発が加速している。『テクノフロンティア2009』(2009年4月15日~17日)において、パナソニックと米International Rectifier(以下、IR)社が、それぞれ開発中のGaNデバイスについて展示を行った。
パナソニック セミコンダクター社は、Si(シリコン)ウェーハ上にエピタキシャル成長させたGaN結晶を用いて製造したGaN-FETの開発成果についてパネル展示を行った。従来、GaNデバイスを製造する場合、SiC(炭化シリコン)ウェーハやサファイア基板に成長させたGaN結晶を使用するのが一般的だった。しかし、高価なSiCウェーハやサファイア基板が、GaNデバイスの事業化における大きな課題になると言われている。同社は、SiウェーハとGaN結晶の間に独自に開発した応力緩和層を設けることで、直径150mm(6インチ)のSiウェーハ上にGaN結晶を成長させることに成功した(写真1)。このGaN結晶を用いて、耐圧600V、電流密度0.4A/mm2、オン抵抗が2.6mmΩcm2のノーマリーオフ型のFETを試作した。「今後は、ノーマリーオフ型のデバイスで、より低いオン抵抗などさらに良好な特性を発揮できるように開発を進める。GaN-FETの用途としては、パナソニック製品であれば、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの白物家電から適用が始まるのではないか」(パナソニック)という。
一方、IR社は、GaNデバイスを作り込んだ直径150mmのウェーハを公開した。1枚のウェーハ内に複数種類のチップを製造した「シャトルウェーハ」で、日本で一般公開するのは初めて。同社は2008年9月に、約5年かけて開発を進めてきたGaNデバイスを事業化する方針を発表。「GaNpowIR」という製品名で、2009年末までに出荷を開始する計画である。GaNダイオード、GaN-FETともラインアップし、デバイスの耐電圧は20V~1200Vを予定している。パナソニックと同じように、Siウェーハ上にエピタキシャル成長させたGaN結晶を使ってデバイスを製造することでコスト低減が可能としている。
(朴 尚洙)