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感度が-165dBmのGPSチップ、
Infineon社とエプソンが共同開発

[issued: 2009年2月16日]
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「XPOSYS」
写真1 Infineon社とエプソンが共同開発したA-GPSチップ「XPOSYS」
開発リソース
図1 XPOSYSにおけるInfineon社とエプソンの開発リソース
Infineon社は、ベースバンド回路とRF回路をCMOSプロセスで1チップ化する技術など赤色で囲んだ部分を担当した。エプソンは、GPSエンジンの提供とベースバンド回路の設計など、青色で囲んだ部分を担当した。

 ドイツInfineon Technology社とセイコーエプソン(以下、エプソン)は2009年2月、携帯電話機などでGPS(全地球測位システム)を使った位置情報サービスに利用される、アシスト型GPS(A-GPS)チップの新製品「XPOSYS」を共同開発したと発表した(写真1)。GPS信号の受信感度は-165dBmで、A-GPSチップとしては世界最高性能だという。日本国内でのサンプル出荷は2009年3月末から、量産開始時期は2009年7~9月を予定している。価格は非公開。

 XPOSYSは、CMOSプロセスでRF回路を1チップに作り込むInfineon社の技術と、エプソンのGPSエンジン/ベースバンド回路の設計を組み合わせて、両社の従来製品を大幅に上回る性能を達成した(図1)。エプソンでGPS推進部長を務める北沢豊氏は、「XPOSYSは、感度が-165dBm、測位時間が1s以下、測位精度が3m(1σ)、定常状態における測位時(Low Power Trackingモード)の消費電力が9mWという値を達成した。感度が-160dBm、測位時間が2~3s、測位精度が5~6m(1σ)、Low Power Trackingモードの消費電力が数十mWという一般的なA-GPSチップの性能を大幅に上回っている」と語る。

 北沢氏は、「必要な4つのGPS衛星の信号がすべて-165dBmでも測位が可能なA-GPSチップはXPOSYSだけだ」と感度の高さを強調する。感度が-165dBmであれば、通常のオフィスビルで窓から10m離れた位置にいても測位が可能だが、感度が-160dBmの場合は、窓から5m離れた位置までしか測位ができない。「XPOSYSを組み込めば、携帯電話機のGPSサービスの実用領域を拡大できる」(北沢氏)という。

 一般に、A-GPSチップでは、感度を高くすると消費電力も増えてしまうという問題がある。これに対して、北沢氏は、「高感度化しても消費電力が増えないようなGPSエンジンのアルゴリズムを新たに開発した。さらに、Infineon社の微細プロセスで製造することにより動作電圧も下がっている。そして、電源管理用のソフトウエアにより、必要のないGPS信号の受信を行わないようにして消費電力を減らすようにした」と説明する。XPOSYSのLow Power Trackingモード以外の消費電力は、GPS衛星を探す「Acquisitionモード」(室内)で70mW、GPS衛星を確定して最初に測位を行う「Trackingモード」で37mW、待ち受け時の「Sleepモード」で6µWである。

 XPOSYSの製造プロセスは65nmで、Infineon社を通してファウンドリで生産する。サイズは2.8mm×2.9mmで、パッケージはWLB(Wafer-Level Ball Grid Array)である。これに対して、エプソンが、NTTドコモの「903i」シリーズ以降の携帯電話機に供給している「S32XND2」は、ベースバンド回路とRF回路の2チップをスタックしたパッケージで、サイズは7mm×6mmである。北沢氏は、「ベースバンド回路とRF回路を1チップにし、なおかつ性能を引き出すのは非常に難しい。製造面を含めて、高度な技術を持つInfineon社との共同開発でなければ、ここまでの小型化と高性能化を両立するのは難しかっただろう」と話す。

 また、XPOSYSは、複数の電子部品と組み合わせてモジュールを製造する場合にもメリットをもたらす。インフィニオン テクノロジーズ ジャパンで通信事業本部RFソリューショングループ部長代理を務める佐藤修氏によれば、「130nmプロセスで製造している当社のA-GPSチップの従来製品『Hammerhead』に替えてXPOSYSを使用すると、部品点数やモジュール基板の面積を大幅に削減することができる」という。その一例として、同氏はそれぞれの評価モジュールの部品点数と基板面積の比較を示した。Hammerheadの場合、部品点数が25点、基板面積が50mm2であるのに対して、XPOSYSの場合は、部品点数が10点、基板面積が26mm2となっている。

 今後のXPOSYSの販売は、Infineon社とエプソンの両社で、それぞれに得意とするエリア/分野などで分担して行う。例えば、携帯電話機であれば、NTTドコモやソフトバンク向けに納入実績を持つエプソンが国内市場を担当し、GPRS(General Packet Radio Service)の1チッププラットフォームなど既存の携帯電話機向けチップとのセット販売が可能なInfineon社が海外市場を担当する、などである。また、携帯電話機以外への展開も検討している。「感度、精度、消費電力などのバランスを、組み込みソフトウエアで制御することにより、盗難時の緊急通報や、PND(パーソナルナビゲーション機器)、自動車のカーナビゲーションシステムなどさまざまな用途に提案できるだろう」(佐藤氏)という。

(朴 尚洙)

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