NECエレクトロニクスは2007年2月、半導体事業の再生に向けた構造改革の方針を発表した。自動車とデジタル民生機器分野向け製品への開発リソースの集中、生産ラインの集約による製造コストの低減、などに取り組む。また、会見の席上、中島俊雄社長(写真)は「32nmプロセス以降の量産工場を当社単独で運営していくのは無理」との見解を明らかにした。
同社は2007年3月期の連結業績見通しを下方修正した。前回の予想に対して売上高が50億円減の6900億円、営業損益は230億円悪化し300億円の損失と赤字が膨らむ。こうした状況から製品ラインの再構築と生産体制の再編成を行う。
これまで同社は、自動車/産業機器、民生機器、コンピュータ/周辺機器、通信機器などの分野に注力してきたが、「経営リソースのフォーカスがまだ十分ではなく、世界市場を狙った強い商品が不足している」(中島社長)との判断から、さらにターゲットを絞り込み、今後は自動車とデジタル民生機器分野に集中することを決めた。
現在、同社では7000人が設計エンジニアとして開発業務にかかわっている。重点分野以外の開発プロジェクトに属する1000人の技術者のうち、約 400人を1年以内に自動車とデジタル民生機器分野に配置転換する。特に、デジタルテレビ用LSI、車載用の情報システム向けLSIやパワー半導体などの設計を強化する。残り600人のうちのほとんどは、同社が開発を委託していた外部の技術者で、これらの委託開発は2007年3月までに中止する。
事業見直しの対象となる製品にはストラクチャードASICや携帯電話機用統合プラットフォームなどがある。ストラクチャードASICは新規の開発や受注を中止する。携帯電話機用統合プラットフォームについては、モデムチップとアプリケーションプロセッサを1チップにした製品の開発はやめるが、データ通信を高速化したHSDPA規格などに対応する3G携帯電話機向けモデムチップ単体の開発は今後も続けていく。
この結果、同社半導体売上高に占める2つの重点分野向け構成比は、2006年の60%から2009年には70%以上となる計画である。
生産体制の見直しは、国内の拡散工程を現在の4拠点9ラインから最終的に4拠点4ラインに集約する。例えばNEC山形は先端SoC向けの300mm ウェーハラインのみとし、200mmウェーハラインは閉鎖する。NEC九州はフラッシュマイコンや自動車向けマイコンを量産する中核拠点となり200mm ウェーハラインのみとする。製品群別の専用ラインに移行することで、拡散工程における原価率を現在より3%以上改善し、コスト競争力を高めていく。
(馬本 隆綱)