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3.5世代携帯電話のマルチパス干渉を低減する受信技術

[issued: 2005年6月27日]
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 富士通研究所が3.5世代携帯電話向けに開発した、独自の受信方式「CCMRM方式」(chip correlation MMSE (minimum mean square error) receiver with MICT (multi-path interference correlative timing))の技術詳細を明らかにする。
 CCMRM方式の採用により従来比で、最大約53%のデータ受信速度向上が可能になるという。

第3世代と3.5世代の違い

 現在、第3世代携帯電話の利用者が徐々に増えている。こうした中、携帯電話による更なる大容量のデータ送受信を可能にするため、3.5世代方式の開発が既に始まっている(図1)。第3世代と3.5世代の大きな違いは、送信電力の制御方式にある。第3世代方式の場合、携帯電話への送信電力は、基地局で制御される。携帯端末の受信環境が良好な場合には、通信速度は2Mbpsで制御され、高速移動時などの受信環境が悪い場合には、基地局からの送信電力が抑えられ、144kbpsで制御される。一方3.5世代方式の場合、基地局から送信される電力は常に一定であり、受信環境に左右されない。3.5世代方式は大容量のデータ送受信を目的に開発されており、第3代世代に比べて常に多めの電力が送信されている。携帯電話の受信環境が悪い場合には、通信速度は第3世代方式と同じ程度であるが、受信環境が良好な場合は第3世代に比べ約5倍の通信速度を可能にするという。言い換えれば、3.5世代方式以降では、受信性能の高い携帯端末ほど高速ダウンロードが可能になる。そのため、端末毎の受信性能差が鮮明になってくるであろう。携帯端末の受信性能の向上は、今後より重要になってくる。


図1:世代別携帯電話利用者数推移
マルチパス干渉

 データの受信性能を落とす主要因として、マルチパス干渉が挙げられる。マルチパス干渉波は、基地局から送 信された電波が、建物や地形などの障害により、反射・回折することにより生じる。その結果、携帯端末が、複 数の経路から、同じ電波を受信してしまい、データ通信速度を劣化させてしまう原因となる。マルチパス干渉が 発生する環境において、希望波はその前後の干渉波の影響を受けてしまう。


図2:マルチパス干渉波

 例えば、図2のように、3つの連続する干渉波があるとする。信号(B)を希望信号と仮定すると、(B)の先行波は (A)の遅延波の干渉を受けている。現状の第3世代の方式では、マルチパス干渉を有効に利用する「RAKE方式」と いう受信技術が使われている。具体的には、希望信号(B)に掛かる(A)の遅延波と(C)の先行波もまとめて(B)の信 号として処理するというものだ。この方式は、受信信号のS/Nを全体的に高めることができるというメリットが あるが、ノイズ成分まで大きくなってしまうという欠点がある。  富士通研究所によると、新技術のCCMRM方式を使えば、マルチパス干渉による干渉波の影響を低減することが できるという。RAKE方式のノイズ成分を低減する。具体的には次のような方法をとる。マルチパス干渉には特定 の周期があり、まずマルチパス干渉が顕著となる時間的ポイント、MICT1,MICT2(図2)を探し出す。  (マルチパス干渉のタイミングを選択するノウハウに関しては、2002年の電子情報通信学会総合大会で、同社が 既に発表している。)  次に、それぞれのタイミングから、希望信号に干渉している干渉成分を演算により推測し、それらを希望信号か ら差し引く。図2で言えば、(A)の遅延波と、(C)の先行波を、希望信号(B)から差し引くという方法だ。同社の報 告によると、データ通信速度は、現行の方式に比べ、時速120キロメートルで移動時に*1)約53%の向上 を実現しているという。  今後は2~3年後の実用化を目指し、他社との差別化を図る考えだ。

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