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Anthony H Smith |
図1の回路は、電流制限回路としてよく知られているものである。この回路では、負荷電流ILの値がほぼVBE/RSに制限される。ここで、VBEはトランジスタQ1のベース‐エミッタ間電圧であり、RSは電源電流の検出抵抗である。通常の動作では、VBEの値が低いのでQ1はオフに保たれ、pチャンネルMOSFETのQ2がゲート抵抗RGを介してバイアスされ完全にオンになる。従って、負荷電流の値は、負荷電圧VLと負荷抵抗RLとだけによって決まる。一方、何らかの要因で負荷電流が増大し、VBEが0.7V近くまで増大すると、Q1が導通し始める。それに伴い、Q2のゲート‐ソース間電圧VGSが低下する。その結果、負荷電流はILMAXIMUM=0.7V/RSの式で決まるほぼ一定のレベルに制限される。
このような線形動作の電流制限回路は、最大負荷電流と電源電圧のいずれか、または両方が比較的小さければ有効に機能する。しかし、この回路は、トランジスタQ2が消費する電力の問題から、適用可能な用途が限られる。例えば、最大負荷電流が200mA、電源電圧VSが24Vである場合、負荷に短絡が生じると、Q2には約5Wの電力が加わる。Q2は、この5Wの電力に適切なマージンを含めた電力を許容できなければならない。また、そのときの接合温度が安全な領域に保持されるようヒートシンクなども必要になる。多くの用途では、このような条件に対応できるようにするには、使用する部品のコストや、サイズ、重量が許容し難いレベルになる。
しかし、この回路に少数の低価格な部品を追加するだけで、過大な電流による消費電力の問題を起こすことなく、効果的に電流制限を行うことができる。本稿では、このようなアプローチによる自動リセット式電流制限回路を紹介する。
図2の回路では、図1の回路と同様に、トランジスタQ1と検出抵抗RSによって負荷電流ILをモニターする。具体的には、IL×RSに等しい電圧VSENSEが検出される。一方、トランジスタQ2は、図1のQ2とは少し異なる動作となる。Q2は、完全にオンになるか、完全にオフになるかのどちらかで、線形動作の条件は生じない。通常の条件では、Q1のベース電流の量は少なく、ベース抵抗RBによる電圧降下も小さい。そのため、Q1のベース‐エミッタ間電圧は、ほぼ電圧VSENSEに等しくなる。
回路の詳細な動作は次のようになる。まず、負荷電流が少なく、Q1のベース‐エミッタ間電圧が0.7Vより低い通常の状態を考える。この条件ではQ1はオフになり、タイミング調整用コンデンサC1の充電電圧はほぼ0Vである。このとき、シュミットトリガーインバータIC1への入力電圧VINはローレベルになる。その結果、IC1の出力がハイレベル(約5V)になり、この電圧によってトランジスタQ3がオンになる。それにより、Q2のゲートが抵抗R4を介してバイアスされる。このバイアス電圧により、検出抵抗RSとQ2のオン抵抗を介し、電源から負荷に対して電流が流れる。
一方、短絡などの故障によって負荷電流が増大したとする。すると、Q1のベース‐エミッタ間電圧が約0.7Vになり、Q1はオンになる。そしてQ1のコレクタ電流により、C1が急速に充電される。その結果、IC1への入力電圧VINが上昇し、ハイレベルの閾(しきい)値電圧VTUに達する。これにより、IC1の出力がローに変わり、Q3およびQ2がオフになる。結果として負荷電流が0Aまで低下し、Q1のベース‐エミッタ間電圧も0Vになって同トランジスタはオフになる。すると、抵抗R1とR2を経由してC1の電荷が放電し、IC1の入力電圧がローレベルの閾値電圧VTLに達する。その結果、IC1の出力がハイに変わり、Q3とQ2がオンになる。このようにして、電流制限回路が自動的にリセットされる。このプロセスは過大な電流が流れなくなるまで繰り返される。遮断電流値ILMAXIMUMは、図1の電流制限回路と同様に検出抵抗によって決まり、ILMAXIMUM=0.7V/RS〔A〕となる。なお、R1とR2で構成される分圧回路は、IC1の入力電圧が許容値を超えないようにするためのものである。
図3は、IC1の入力電圧VINと負荷電圧VLの関係を表している。負荷電流がQ2を経由して流れるのは、Q2がオンの期間だけなので、Q2が消費する電力はデューティサイクルに比例する。つまり、次式が成り立つ。

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