MAGAZINE ARTICLES

Pulse

「スマートホンやスマートブック分野に注力」
——ARM社CEOのEast氏が会見

[issued: 2009年7月号]


写真1 ARM社のWarren East氏

 英ARM社のCEO(最高経営責任者)を務めるWarren East氏(写真1)が2009年6月に来日、東京都内で会見を開いた。同氏は、「スマートホンやスマートブック、ネットブックといったMID(Mobile Internet Devices)の用途に注目していく」との方向性を明らかにするとともに、マイクロコントローラ(MCU)事業の拡大にも力を入れると語った。

 ARMプロセッサは、ASICやASSPに組み込む形で、携帯機器を中心にさまざまな機器に搭載されている。2008年にパートナー企業から出荷されたARMプロセッサは40億個となった。また、これまでの累計出荷数は150億個に達している。

 調査会社によると、2008年における主なセグメント別のARMプロセッサのシェアは、スマートホン向けが85%、デジタルスチルカメラ/デジタルビデオカメラ向けが70%である。また、組み込みプロセッサ市場におけるARM社のシェアは、2006年の約20%から、2008年には約30%と大幅に増えたという。

 ARM社が携帯機器の中でもスマートホンやスマートブック、ネットブックに注目する理由として、East氏は「機器に搭載されるチップの単価と搭載されるチップの数」を挙げる。同社がライセンシーから受け取るロイヤルティ収入は、チップ価格に応じて決まる。チップ単価が高ければ、その分だけARM社が得られる収入は増えるのである。「ローエンドの携帯電話機用ベースバンドICから得られる収入に対し、単価の高い3G対応のベースバンドICではその2倍、アプリケーションプロセッサではその3倍の収入になる」(East氏)という。さらに、製品ベースで見れば、ネットブックに搭載されるARMプロセッサベースのICチップから、ARM社がロイヤルティとして得られる収入は、スマートホンに比べ1台当たり約2倍になると試算している。

 スマートホン/スマートブック向けプロセッサやMCUにおける事業戦略は携帯電話機向けの戦略とは異なる。East氏は「それぞれのセグメントで成功するには、各マーケットの要件が異なることを認識しなければならない」と語る。そして、ライセンシーが成功を収められるような環境作りにも力を入れるという。

 一方、MCUでは、競合他社の8ビットMCUに対抗する製品として、2009年2月に「Cortex-M0」を発表している。同製品はARMプロセッサの中で、最も消費電力が少なく、チップサイズも小さい製品である。East氏は「MCUの分野でも、構造的なコストを削減するには、ARMプロセッサのような“世界標準”とも呼ぶべきCPUコアを採用することが、顧客にとっても重要だ」と述べた。

国内でも、実績を積み上げる

 日本の32ビット組み込みプロセッサ市場におけるARMプロセッサの位置づけについて、日本法人アームの社長を務める西嶋貴史氏が概要を説明した。調査会社のデータによれば、日本市場におけるCPUアーキテクチャ別シェアでは、ルネサス テクノロジの「SH」や、NECエレクトロニクスの「V850」に次いで、ARMプロセッサは第3位だという。2008年は市場シェアが21.8%で、上位2社に迫る。

 また、西嶋氏は、組み込みシステムのOS別開発プロジェクト数の推移も紹介した。そのデータによれば、ITRON系OSを利用する開発プロジェクト数で、ARMベースのプロジェクトのシェアは2008年に15.8%となり、SHに次ぐ第2位であったという。同様に、組み込みLinuxを用いた開発プロジェクト数では、「PowerPC」、「x86」に次ぐ第3位であった。2008年に全体の22.4%のシェアを占めた。

 西嶋氏は、日本におけるARMプロセッサの採用事例として、NTTドコモのスマートホン端末「HT-03A HTC」、東芝のスマートホン端末「Dynapocket」などを挙げた。

(馬本 隆綱)

Sponsor Links [ PR ]

関連情報  by  Supplier Showcase

EDN RESOURCE CENTERpowered by Supplier Showcase

SPECIAL CONTENTS [ PR ]

最新ニュース

このコーナーのバックナンバー

キーワードタグ一覧