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日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)は2009年5月、IEEE 802.15.4規格をサポートする無線SoC(System on Chip)「CC2530」を発表した。RF回路を含むトランシーバ、プロトコル/アプリケーション制御に用いる「8051」ベースのマイクロコントローラ、8KバイトのRAM、最大256Kバイトのフラッシュメモリー、各種周辺回路を搭載している。2.4GHz帯のZigBee、同PRO、同RF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)、独自規格のネットワークプロトコルに対応できる。パッケージは6mm×6mmの40端子QFNで、1000個購入時の単価は3.25米ドル。
CC2530は、無線リモコン(RFリモコン)や、「Smart Energy」と呼ばれる電力メーターネットワークを利用した双方向通信システム、調光機能付き照明システム、ワイヤレス医療機器、車のキーレスエントリーシステムといった幅広い用途を狙った製品である。日本TIの担当者によると、「特に、ZigBee RF4CEを利用したRFリモコンについては、従来の赤外線リモコン(IRリモコン)からの置き換えを狙う動きが出てきていることもあり、拡大が見込まれる市場として期待している」という。
ZigBee RF4CEは、テレビやセットトップボックスなど、リモコン機能を備えた民生用オーディオ機器向けに設計された規格である。ソニー、パナソニック、オランダPhilips Electronics社、韓国Samsung Electronics社で構成されるRF4CEコンソーシアムとZigBeeアライアンスは、RFリモコンの規格策定に向けて動いており、2009年3月には、米Texas Instruments社もRFリモコン技術の開発/提供を行っていくことを発表している。フルスペックのZigBeeは、高機能ではあるものの、その仕様は非常に複雑であり、実装コストも高くつく。それに対して、ZigBee RF4CEは、民生機器向けのRFリモコンに特化した“軽量版”の仕様となっている。
ZigBee RF4CEを利用したRFリモコンの利点としては、双方向の通信が行えること、遮蔽物があっても問題なく操作が行えること、1つのリモコンにより複数種の機器を操作できること、通信可能距離が長いことなどが挙げられる。日本TIの担当者は、「ZigBee RF4CEを利用することによって、今後はRFリモコンも高機能化/多機能化していくと思われる」と説明する。一方で、IRリモコンに比べて、価格が高くなることが課題となる。この点について、日本TIとしては、CC2530ならびにZigBee RF4CEに対応したソフトウエアスタックなどを併せて提供することで対応する考えだ。同社は、ZigBee RF4CEに対応したハードウエア/ソフトウエア群を「RemoTI」と名づけている。これにより、価格に見合ったさまざまなアプリケーションの実現をサポートすべく、各リモコンメーカーに働きかけていくという。なお、RemoTIのソフトウエアスタックは、同社ウェブサイトから無償で入手できる。
CC2530のフラッシュメモリーの容量は、32Kバイト、64Kバイト、128Kバイト、256Kバイトの4種類から選択できる。ZigBee/同PROに対応する場合、256Kバイトのバージョンを使用する必要があると考えられる。一方、ZigBee RF4CEを利用したリモコン用途であれば、64Kバイト品で実現できる可能性が高いという。
CC2530のデータレートは最大250キロビット/秒。受信感度は最大−97dBmで、送信電力は4.5dBmである。隣接チャンネルの妨害波に対する耐性(ACR:Adjacent Channel Rejection)は49dB(±5MHz時)。対応するRF周波数範囲は2.394GHz〜2.507GHzで、動作電圧範囲は2.0V〜3.6Vである。消費電流は、受信時が24mAで、4.5dBm出力での送信時が35.5mAとなっている。4つの動作モードをレジスタで設定することができ、スタンバイモード時の消費電流は1μA。動作温度範囲は−40〜125℃となっている。
周辺回路としては、5チャンネルのDMA(Direct Memory Access)コントローラ、12ビットA-Dコンバータ、ウォッチドッグタイマーなどを内蔵している。汎用I/O端子は、リモコンの用途にも十分対応できるよう、21本(4mA×19本、20mA×2本)を備えている。また、2系統のUSART(Universal Synchronous Asynchronous Receiver Transmitter)も搭載している。さらに、AES128方式に準拠した暗号処理機能を備えている。この機能をハードウエアで実現していることで、処理時間の短縮が図れるという。
日本TIは、RFリモコン以外の用途も含めて柔軟に対応できるようソフトウエア製品群を用意している。1つはZigBee/同PROに対応している「Z-Stack」、もう1つはZigBee以外の独自の規格に基づいたネットワーク構築を容易化する「SimpliciTI」である。これらも、同社ウェブサイトから無償でダウンロードが可能だ。
CC2530の開発キットとしては、開発/評価に必要なひととおりの部品を含んだ基本キットの「CC2530DK」、CC2530を実装したZigBee向けのキット「CC2530ZDK」(写真1)が用意されている。ZigBee RF4CEを利用したRFリモコン開発向けには「RemoTI-CC2530DK」が用意されている。価格はCC2530DKが299米ドルで、RemoTI-CC2530DKが149米ドル。ZigBee用のCC2530ZDKについては、要問い合わせとなっている。
(村尾 麻悠子)
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