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北九州産業学術推進機構(FAIS)の半導体技術センターは、北九州市における半導体チップの設計から製造、テスト、さらには半導体チップの応用に至までの総合的な半導体産業拠点の形成を目指し、半導体関連ベンチャー企業の支援や、即戦力となる半導体設計技術者の育成、産学連携による共同研究の促進などに取り組んでいる。同センターのセンター長を務める丸田秀一郎氏は、「特に、アナログ設計技術者の育成と半導体応用技術の開発に力を入れたい」と語る。
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大きく分けて、「人材育成」と「産業創出」の2つがある。人材育成事業の代表例としては、半導体技術者育成講座「ひびきの半導体アカデミー」を挙げることができる。アナログ設計者の育成や半導体応用技術に関する講座を設けており、2007年度は520人が受講した。
半導体技術センターでは、ICの設計に用いるEDAツール、チップを製造するためのクリーンルーム、評価/テストのためのICテスターなどを利用することができる。つまり、半導体チップの設計から製造、評価/テストまで一貫した教育が行える設備が整っている。
ものづくりに直結する半導体の一貫教育システムは従来どおり継続しつつ、半導体チップの応用市場をさらに拡大していくために、2007年度より応用技術講座も始めた。
半導体の応用技術として注目している分野は、「カーエレクトロニクス」、「医療機器/健康機器」、「ロボット」、「新しい照明技術」の4つ。北九州地区の特徴は、これらの分野に強みを持つ企業が集まって産業構造を作っていることだ。応用技術講座を通じて、5年間で2000人の技術者を育成していきたい。
人材育成としては、北九州市が「半導体アナログ設計拠点強化」の方針を打ち出したこともあり、即戦力となるアナログ半導体設計者の育成に力を入れている。例えば、CMOSオペアンプ、RF集積回路などを扱う実践中心のものづくり講座や、アナデジ混載SoC(System on Chip)設計など、アナログ/RFに関連した特別講座などを設けている。
半導体産業創出事業としては、2006年度から始めた「ミニラボ(マッチング調査活動)」という事業がある。この事業は、これまで学術研究都市に蓄積してきた大学のシーズや、産学連携による共同研究によりベンチャー企業に蓄積された成果を活用して、北九州地区の半導体産業を創出する取り組みだ。
ミニラボの開発事例として、産業機器の省配線化に有効な「シリアルバス通信システム」や「水素ラジカルを用いた酸化膜除去によるフリップチップ接続状態の改善」などを共同研究の成果としてすでに公表している。
いくつかあるが、まずLEDチップを使った新しい照明技術関連講座の開拓が挙げられる。LED照明は、従来の白熱電球に比べて消費電力が1/10程度であることから、環境に配慮したエレクトロニクスとして注目されている。また、北九州には、東芝のアナログ半導体/光半導体(LED)の基幹工場がある。この同社北九州工場と協力して、LEDモジュールの開発に向けた実装技術や、照明器具に必要となる熱設計技術などの研究を手掛けていきたい。
もう1つ、マルチコアプロセッサを搭載したスーパーコンピュータをFAIS内に設置し、北九州学術研究都市および北部九州を開発拠点とする研究者が無償で利用できるサービスを始めた。FAISは2007年10月に、ソニー、ソニー・コンピュータエンタテインメント、東芝、米IBM社から、「Sony-Toshiba-IBM Center of Competence」に選ばれ、「Cell Broadband Engine(Cell B.E.)」の普及とCell B.E.向けソフトウエア開発者のコミュニティ構築活動を行ってきた。
このような活動を受け、2009年5月にはIBMグループの支援により、IBM社製のブレードサーバー「BladeCenter QS22」を搭載したスーパーコンピュータをFAIS内に設置した。これまで、研究者個人が利用する一般的なコンピュータでは10日間ほど要していた計算処理が、このスーパーコンピュータを利用することで、数10分で実行できると言われている。これにより、バイオや遺伝子の研究に必要となる複雑なシミュレーションなども短時間で行える。この新たなサービスが研究の効率アップや質の向上につながることを期待している。
(聞き手=馬本隆綱)
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