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富士通マイクロの1394 Automotive IC、本田技術研究所が採用に向けて評価開始

[issued: 2009年6月号]

 富士通マイクロエレクトロニクス(以下、富士通マイクロ)は2009年4月、情報系車載LAN規格の1394 Automotive(従来の呼称はIDB-1394)に準拠する通信コントローラICの新製品「MB88395」を発表した。最大データ転送速度を従来品の2倍となる800メガビット/秒(Mbps)にするなどして、HD(高品位)映像の多重伝送を可能としたことが最大の特徴である。サンプル価格は1700円。月間販売目標は、2012年度に50万個。また、本田技研工業の開発部門である本田技術研究所が、車載エンターテインメントシステム向けにMB88395の評価を開始することも発表した。

コーデックの圧縮率を1/4に向上

図1 HD映像を伝送する車載エンターテインメントシステムの比較(提供:富士通マイクロ)
(左)はMOSTを使う場合、(右)は「MB88395」を使う場合である。MB88395を使うことで、部品コストとワイヤーハーネスの本数を大幅に削減できる。

 富士通マイクロは、2005年から1394 Automotiveに準拠した通信コントローラICの開発を行ってきた。2007年11月には、富士通研究所が1394 Automotive専用に開発した映像データの圧縮/伸張用コーデック「SmartCODEC」を搭載した「MB88388A」を発表している。

 MB88395は、地上デジタル放送やBlu-rayディスクなどのHD映像を、人間がほぼ認識できない遅延時間で伝送することを目的として開発された。

 同社基盤商品事業本部自動車事業部で事業部長を務める独古康昭氏は、「2011年に国内の地上アナログ放送が終了し、2013年にはBlu-rayディスクのアナログ端子による映像出力が終了する。自動車内での映像伝送についても、需要が拡大しつつある後部座席用のエンターテインメントシステムなどを含めて、今後はデジタルで行う必要が出てくる。情報系の車載LAN規格で、ほぼ遅延のないHD映像の伝送が可能なのは1394 Automotiveだけであり、その1394 Automotiveに準拠するMB88395の需要は確実に拡大すると期待している。本田技術研究所以外にも、複数の国内メーカーに評価してもらう予定だ」と語る。

 MB88395の最大転送速度は、MB88388Aの2倍となる800Mbpsである。さらに、SmartCODECによる映像の圧縮率を1/3から1/4に向上している。この機能により、885Mbpsの転送速度を必要とする720p(1280×720画素、60フレーム/秒)の映像を、249Mbpsで転送可能なレベルにまで圧縮することができる。映像データの圧縮/伸張によって生じる遅延時間は2ms~3msで、人間にはほぼ認識できないほどに高速である。

 また、MPEGコーデックを用いているために圧縮/伸張の遅延時間が大きいカーナビゲーションの案内画像についても、2ms~3msの遅延時間で、415Mbpsから119Mbpsレベルへの圧縮と逆方向への伸張が可能。800Mbpsの転送速度があれば、これらの映像を多重伝送することができる。

 現在、情報系車載LAN規格としては、欧州の自動車メーカーを中心に「MOST(Media Oriented Systems Transport)」が利用されている。しかし、HD映像の多重伝送を行うシステムを構成する場合、このMOSTに替えて1394 AutomotiveベースのMB88395を利用することにより、部品コストと配線に用いるワイヤーハーネスの量を削減できる(図1)。「条件にもよるが、最大で部品コストを30%、関連するワイヤーハーネスの本数を70%削減できる」(富士通マイクロ)という。

 また、MOST準拠の通信コントローラで、Blu-rayディスクで用いられているH.264ベースの映像を扱う場合、外付けでエンコーダ/デコーダチップとフレームメモリーが必要である。加えて、映像の圧縮/伸張で生じる遅延時間は約400msに達する。これに対して、MB88395では、映像の圧縮/伸張を1チップで行うことができ、その遅延時間は2ms~3msに抑えられる。

 MB88395は、動作電圧が3.3V±0.3V、動作温度範囲が-40~95℃。16mm角、224ボールのFBGAパッケージで供給される。

 また、富士通マイクロは、今後も1394 Automotiveに準拠する製品のラインアップを拡大する方針である。具体的には、複数の通信チャンネルを備える製品や、通信コントローラをマイコンに搭載したSoC(System on Chip)、車載カメラ用の製品などである。

 一般的に、車載LAN規格は、自動車の運転機能にかかわる制御系と、カーオーディオやカーナビゲーションに用いる情報系の2分野に分けられる。1394 Automotiveは、パソコンなどに用いられているシリアルバス規格IEEE 1394をベースにした情報系の車載LAN規格である。規格の策定は、IEEE 1394の規格化を行う1394 Trade Associationが進めている。転送速度は、IEEE 1394の最新仕様IEEE 1394-2008に準拠して、400Mbps~3.2ギガビット/秒までが規格化されている。

(朴 尚洙)

連絡先:基盤商品事業本部 自動車事業部 マーケティング部、03-5322-3461

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