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本稿では、スイッチング電源回路のフィードバック制御ループの利得と位相の周波数特性を測定する手法を紹介する。測定にはネットワークアナライザは使わず、信号発生器とオシロスコープ、トランスを利用して、自らボード線図を描くことで特性を把握する。本稿の内容を、周波数特性評価の基本手法として活用していただければ幸いである。 Frederik Dostal 米National Semiconductor社 |
スイッチング方式の電源回路は、フィードバック制御ループを駆使することで一定の電圧(あるいは電流)を生成する。同ループの応答速度と安定性は、制御ループの伝達関数に依存する。そして、その伝達関数は、利得(ゲイン)および位相の周波数特性で表現する。フィードバック制御ループの伝達関数を把握し、そのループ回路のポール(極)とゼロ(零)がどこに位置するのかを調べれば、パワーステージの部品や位相補償に用いる部品を適切に選択することができる。
伝達関数を把握するための有用な測定器が、ネットワークアナライザである。同アナライザは、印加信号の周波数を掃引することで、制御ループの利得と位相の周波数特性を自動的に計算してグラフ化してくれる。しかし、ネットワークアナライザは高価だという欠点がある。
ネットワークアナライザを利用できない場合には、信号発生器とオシロスコープ、標準的なトランス(変圧器)を使うことで利得と位相を測定することができる。具体的には、制御ループに小振幅の交流信号を入力して、利得と位相を測定する。その結果を基に、ボード(ボーデ)線図を作成するのである。ボード線図が得られれば、フィードバック制御ループの伝達関数を把握することができる。
本稿では、この方法について実践的に解説する。
本稿では、代表的な測定例として、降圧型のスイッチングレギュレータを取り上げることにする。そのレギュレータの回路と測定用の回路を併せて示したのが図1である。
この測定系では、レギュレータ回路(黄色の網掛け部分)の制御ループ内に、小振幅信号を入力してループ応答を測定するためのポイントを設ける必要がある。お勧めなのは、図1のように、ハイサイドのフィードバック抵抗R1と出力電圧VOUTのノードの間に測定ポイントを設けることである。
測定ポイントは、具体的には2カ所ある。図1の測定系では、20Ωの抵抗R0をフィードバック経路に挿入しているが、出力ノード側のポイントAと、フィードバック抵抗側のポイントBが2つの測定ポイントとなる。フィードバック経路に挿入する抵抗R0は、値が20Ω程度であれば、出力電圧VOUTへの影響は無視できる。
制御ループ内に信号を印加して測定を実行するには、系全体の確実なセットアップが必要である。http://www.tmworld.com/article/CA6589685.html#Good_connectionsに測定手順を示した動画をアップしているので、そちらも参考にされたい。
制御ループに入力する信号の振幅は、十分に小さくなければならない。出力電圧に大きな変化が現われ、電源回路の処理に影響を与えることがないようにするためである。ただし、入力信号の振幅は、オシロスコープで観測できる程度には大きくなければならない。加えて、入力信号の電圧は、電源回路に用いるレギュレータICのフィードバック端子(図1のFB端子)における電圧保護用の閾(しきい)値を超えてはならない。
信号発生器からの出力振幅は、トランスT1を介して伝わる信号によって、制御ループの動作が非線形にならないように調整する必要がある。また、信号発生器からの出力の直流オフセットは0Vにしておく。直流電流が測定回路に流れないようにするためである。
入力信号の振幅は、図1の場合であれば、20Ωの抵抗R0の両端において30mV~100mVとなるようにする。すなわち、この程度の振幅の正弦波信号が入力されるように信号発生器を調整する。電圧振幅の最適な値は、制御ループの利得および周波数によって異なる。そこで、初めは振幅を小さくしておき、オシロスコープで観測できる程度にまで振幅を少しずつ大きくしていく。そうすれば、電源回路の出力電圧に対し、入力信号の値を低い状態に保つことができる。
トランスT1には、制御ループ内に直流電流が印加されるのを防ぐ働きがある。ここで用いるトランスとしては、周波数特性が平坦なものを選ぶのが望ましい。測定周波数帯域の全体にわたって平坦な特性が得られない場合には、信号発生器の出力振幅を調整してトランスの周波数特性を補正する必要がある。
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伝達関数の把握
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