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三洋電機と新日本石油、公共/産業市場向け薄膜太陽電池事業で提携

[issued: 2009年3月号]


写真1 記者会見の様子
左から、新日本石油社長の西尾進路氏、新会社副社長の湯原尚一郎氏、新会社社長の五十嵐未知人氏、三洋電機社長の佐野精一郎氏。

 三洋電機と新日本石油は2009年1月、都内で薄膜太陽電池に関する事業提携について記者会見を行った(写真1)。両社は、1月23日付で合弁会社「三洋ENEOSソーラー株式会社」を設立、公共/産業向けなどの大規模な太陽電池を必要とする顧客を対象に、従来の結晶系太陽電池と比べて低コストであることを特徴とする薄膜太陽電池の製造/販売を行う。2010年度中にマザープラントを建設し、量産開始時は80MW/年規模、2015年度には1GW/年、2020年度には2GW/年と順次生産規模を拡大する計画だ。2015年度には、薄膜太陽電池市場で世界トップシェアを目指す。

 三洋電機社長の佐野精一郎氏は「太陽電池の市場は、一時的な足踏みはあっても、中長期的には拡大する。中でも、薄膜太陽電池の市場は、現在中核を成している結晶系の太陽電池を上回る勢いで急拡大する見通しだ。当社の結晶系太陽電池『HIT』にも利用している高度な薄膜シリコン技術をベースに、低コストながら高性能の薄膜太陽電池の開発、製造を行い、新日本石油の持つ海外ネットワークを活用して市場開拓を進めていきたい」と語る。

 一方、新日本石油社長の西尾進路氏は「当社は、総合エネルギープロバイダとして、広大な土地に設置して発電を行うメガソーラー発電や船舶用途などの公共/産業市場に向けて、結晶系太陽電池よりも低コストの薄膜太陽電池を販売していく。また、石油の精製や化学品の製造で培ってきた大型プラントにおけるガス関連のノウハウを提供できるだろう」と述べた。

 新会社は、本社を東京都文京区に置く。資本金は2億円で、三洋電機と新日本石油が50%ずつ出資する。社長には、三洋半導体ビジネス開発室室長の五十嵐未知人氏が、副社長には、新日本石油国際事業本部薄膜太陽電池プロジェクト室室長の湯原尚一郎氏が就任する。2010年度中に立ち上げるマザープラントは「薄膜太陽電池の研究開発を行っている岐阜事業所内に立ち上げることになるだろう。投資金額は約200億円を予定している」(佐野氏)という。

 薄膜太陽電池の変換効率は、量産初期は10%で、生産規模を拡大する2015年度~2020年度に12%以上まで高めることを目標としている。

 三洋電機は2008年12月、パナソニックの子会社になることに伴い、両者の協業による大きなシナジー効果が期待できる事業として太陽電池を挙げている。佐野氏は「パナソニックとの協業は、個人向けに販売する結晶系のHIT太陽電池が中心。新会社は薄膜太陽電池を大面積で設置する公共/産業向けに販売するので影響はないだろう」と説明する。

材料コストが半分に

 結晶系太陽電池の変換効率は20%以上にもなる。それに対し、薄膜太陽電池の変換効率は現行品で7%程度しか得られない。その反面、薄膜太陽電池は、製造プロセスで使用するシリコンの量を約1/100に減らすことができることから、低コストで製造できるという特徴を備える。そのため、「薄膜太陽電池では、おそらく結晶系太陽電池に比べて材料コストを約半分に抑えられる」(佐野氏)という。また、新会社社長の五十嵐氏は、「欧州の市場では、結晶系太陽電池の価格が2.5~3ユーロ/Wまで下がっている。新会社の薄膜太陽電池では、この半分以下となる150円/Wで提供できるようにしたい」と語った。

 三洋電機が開発中の薄膜太陽電池は、アモルファス(非晶質)シリコンを主材料とするアモルファス系薄膜シリコン太陽電池である。同社は、太陽光の短波長側を利用するアモルファスシリコンと、長波長側を利用する微結晶シリコンを組み合わせた「タンデム構造」を採用して変換効率を高めている。研究レベルでは、モジュール化したアモルファス系薄膜シリコン太陽電池として世界最高となる10%の変換効率を達成している。

(朴 尚洙)

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