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マルチコアICとSRAMチップ間を電磁誘導で無線接続、
慶応大や日立らが実証

[issued: 2009年3月号]

 慶應義塾大学、日立製作所、ルネサス テクノロジは共同で、マルチコアICとSRAMを3次元実装で積層する場合に、それぞれのチップ上に形成したコイルの電磁誘導によって、両者を無線通信で接続する手法の動作検証に成功したと発表した。

 この電磁誘導によるチップ間の結合(以下、誘導結合)は、送信側のチップ上に形成したコイルに電流を流して磁束を変化させることにより、受信側のチップ上に形成したコイルに電流を流して通信するというものだ。送信側/受信側のコイルは、既存のCMOS製造プロセスによって形成することが可能である。この誘導結合は、現在、SiP(System in Package)などの3次元実装で使用されているワイヤーボンディング手法と比べて通信速度が速い。また、貫通シリコンビア(TSV)を使う手法と比較しても、低コストかつ高い信頼性が得られることが実証できたという。

 今回、慶應大学の黒田忠広教授と日立およびルネサスは共同で、商用レベルのチップ間での実用性を評価するために、8個のCPUから構成されるマルチコアICと1MバイトのSRAMチップを試作、それらを積層して誘導結合による無線通信を行った。マルチコアICは90nmプロセスで製造し、SRAMチップは65nmプロセスによって製造した。積層した両チップ間で、16チャンネルのコイルを用いて無線通信を行い、システムレベルでの動作検証を行ったところ、ビット誤り率は10-14以下という高い信頼性が得られたという。誘導結合のために追加した回路の面積は2.88mm2で、通信回路の周波数は600MHz、2チップ間でのデータ通信によって生じる消費電力は19.2mWであった。また、電源電圧に関しては、±5%での変動に対する耐性が確認された。

 複数のチップ間で無線通信し、システムレベルで動作検証を行うためには、信号を受信した後に増幅する活性化信号のタイミングを最適化する必要がある。そのため、2つのチップ間で生じるタイミングのばらつきを調整する「2段階タイミング調整技術」を開発した。同技術は、まず製造ばらつきによって生じる信号チャンネル全体のタイミングを粗く補正し、その後、各チャンネルのタイミングを詳細に最適化する手法である。また、電流を流す時間が長くなると消費電力が増大するという課題を解決するために、「狭パルス通信方式」を開発した。パルスを用いたデータ転送によりデータ伝送時間を短くし、さらにそのパルス幅を180psまで狭くすることで、通信時の消費電力を大幅に低減することに成功したという。

(鉄井 亮一)

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