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オーストラリアAltium社は、同社の電子機器向け統一設計環境「Altium Designer」の最新版として「Winter 09」の販売を2008年12月より開始した(写真1)。Altium Designerは、エレクトロニクス製品の実現に必要な電気/機械設計機能を1つのソフトウエア環境にまとめたもの。ボードレベル/FPGAレベルのシステム設計や、組み込みソフトウエア開発、プリント配線板(以下、基板)設計などが行える。Winter 09は、2008年夏にリリースされた「Summer 08」の次バージョンで、既存機能の大幅な改良に加えて、多くの新機能が追加されている。
まず、Winter 09では、より正確な基板設計のモデリングが行えるように3D表示機能が強化された。特に3Dレンダリング機能の高速化が図られており、従来のSummer 08と比較して3D描画速度は最大で7倍、3D映像の回転速度は最大で5倍ほどになったという。また、3Dモデルへのテクスチャマッピング機能によって、よりリアルな映像表示が可能となり(画面1)、信号層ごとにサイズの異なるビアの設計や多層基板での高密度配線にも対応している。さらに、3D正射投影法によって、3D表示での設計作業時における視認性や操作性も向上させたという。
また、Winter 09には設計期間を短縮するための新たなインタラクティブ配線機能が追加された。具体的には、障害となるオブジェクトを自動的に迂回する「ウォークアラウンド」機能を差動ペアや複数の束線(バス)の配線時にも利用できるようにした。また、既存パターンに沿った配線や、配線の障害になるオブジェクトの移動、配線の自動完了機能などが追加され、スムーズかつ効率良く配線作業が行えるようになっている。さらに、差動ペア配線のインタラクティブ配線中にピンスワップが行え、特定の信号を一連のスワップ可能なピンに定義しておくことで、BGAパッケージのFPGAの設計などにも有効に利用できるという。
加えて、Winter 09では設計工程間あるいは製造工程への設計データ/ファイルの引き継ぎ管理機能が強化されている。設計環境内でドキュメント履歴を作成/追跡するための「リリースマネージャ」機能を新たに導入し、出力ファイルの定義や生成を集中管理することで作業が簡単に行えるようにした。ソースデータを管理することで、データの追跡や履歴を把握することができ、プロジェクト全体のリリーススナップショットの取得、ウィザード形式でのリリース管理、オンラインでのデータの配布といったことが容易に行える。
基板の設計が完了してから実際に製造工程に移行した後、設計ミスが発覚して製造上での不備が生じることがある。その場合、再び設計をやり直す必要があり、大幅な時間のロスにつながる。例えば、基板の加工時に、設計上の問題によってうまくドリル穴があけられなかったり、基板が破損してしまったり、パッドシルクの重なりが生じたり、印字が読めなかったりといったことが起こり得る。
Winter 09では、製造時に問題となりそうな設計個所を前もって把握し、設計工程から製造工程に確実に移行できるようにするための細かなルールチェック機能を充実させている。例えば、ドリル穴の最小間隔やソルダーマスクの最小幅のチェック機能、不要回路の見落としによるアンテナパターンの有無の確認、パッドシルクの重なり、シルク間隔などのチェックが行え、基板エディタ内でそれらを修正できるようになっている。
また、設計が完了して実際に製品を製造するためには、各種部品のコストチェック、在庫の確認といったことを行う必要がある。場合によっては、選択した部品が調達できず、設計どおりに製品を製造できなくなる可能性すらある。そのため、設計者には部品の価格/在庫/納期などの情報を把握して、どの部品を選択すべきかを判断することが求められる。
Winter 09は設計作業を進めながら使用する部品を選択できるようになっている。選択した部品とサプライヤのデータベースをオンライン上でリンクさせることで、各部品の価格や在庫状況などの最新情報をリアルタイムで入手することも可能だ。現時点では、電子部品サプライヤの米Digi-Key社が提供しているデータベースへのリンクが可能となっており、最終的にネットワーク経由で部品発注まで行えるという。
このほか、Winter 09にはGUI(Graphical User Interface)でのプラグ&プレイでソフトウエアプラットフォームを構築することができる「ソフトウェアプラットフォームビルダ」機能が新たに導入された。この機能と、同社のハードウエア開発プラットフォーム「NanoBoard」とを連携させることで、設計者はハードウエアの稼働時に必要となる基本的なソフトウエア群をプラットフォームとして容易に作成できるという。同機能によって、ハードウエアとソフトウエアの知識が必要で、設計者にとっては厄介な作業であったデバイスドライバの作成なども、設計完了時にほぼ自動的に行えるという。
なお、Winter 09の価格は基本セットライセンスが71万7000円、拡張セットライセンスが195万5000円(いずれも1年間のメンテナンス料込み)となっている。
(鉄井 亮一)
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