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組み込みシステムの性能を高めるために、設計者はシステムに搭載するセンサーの数を増やし、よりインテリジェントな処理機能を追加しつつある。センサーの数が増加することで、システムの設計はより複雑になるが、従来のシステムから大幅にコストを増やすことなく、より多くの機能を追加できる可能性がある。複数のセンサーを活用しようという傾向は、ハイエンドの製品に限らず、家電製品などの安価な製品にも拡大しつつある。 Robert Cravotta |
マイクロプロセッサやセンサーの価格は低下し続けている。このことから、自律型/半自律型のシステムをさらにインテリジェントなものとし、システム内部の状態やシステムを取り巻くその時点の環境をより正確に把握した上で、最適な判断が行えるように設計することが可能になってきている。センサーを使ったインテリジェントな処理機能を加え、すべてのセンサーからのデータを連携させようとすると、設計の複雑さと開発期間は増大する。しかし、それによって従来のシステムと同等の価格でより多くの機能をより効率的に提供できるシステムとなり、他社との差異化を図ることができる場合には、設計チームは、その開発コストの増加を受け入れる傾向にある。
組み込み設計において、センサーを使用する手法は決して新しいものではない。しかし、ハイエンドの自律型システムから大量生産される民生機器に至るまで、搭載されるセンサーやプロセッサの数がますます増加してきているという点が従来とは異なる。センサーやプロセッサの価格が低下し続けるに連れて、これまで使用されてきた機械制御の機能が、センサー/プロセッサを用いた電気制御の機能に置き換えられてきている。ただし、同一システム内で複数のセンサーを連携させた処理を構築するのは、単に機械的に部品を置き換えるだけの作業よりもはるかに複雑なものである。このことから、ベンダーはそのための手法をプロプライエタリ(独占的)な情報であると考える場合が多い。しかし、センサーとデータ処理アルゴリズムの最適な組み合わせを見つけ出せれば、材料/部品のコストを低減し、エネルギー効率を向上させ、システム性能を高めることが可能になる。
米国防衛高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)は、『Urban Challenge』や『Grand Challenge』などのイベントを主催している。これらは、多数のセンサーを搭載した完全自律型の自動車が、環境や状況を自ら検知/解釈/予測して、それに対応した動作を行うことができるか否かを競うものである*1)。これらのイベントでは、運転者や遠隔制御なしで、種々のオンボードセンサーや位置決定システムのみによって完全に独立して進路を決定して走行する自律型自動車が披露されている*2)。ただし、これらのイベントでは通常、主催者があらかじめ目的地の位置情報を提供し、自動車はそれを基に走行する。つまり、自動車が自ら目的地や訪問順序を決定するのではなく、定められた目的地までの経路を自律的に決定するようになっている。
2007年11月3日に開催されたUrban Challengeでは、自律型自動車に、市街道路の交通状態の中をほかの有人または無人自動車とともに走行することが求められた。合流、通過、駐車、交差点での譲り合いといった複雑な動作を安全に実行できるかどうかが競われたが、6チームがこの課題を見事にクリアした。優勝したTartan Racingチームの車両には、慣性/GPS(Global Positioning System)センサーおよび慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)センサーに加えて、7個のライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)、レーダー(RADAR:Radio Detection and Ranging)およびビジョンセンサーが搭載されていた*3)。センサーの組み合わせによって、計画アルゴリズム用のデータの融合をサポートしており、また冗長性やデータの連携を実現するために、いくつもの同種のセンサーを搭載していた。
多くのセンサーを搭載する自律型システムの種類は増加している。ロボットもその1つである。
例えば米Boston Dynamics社は何種類ものロボットを提供している。同社の遠隔制御ロボット「BigDog」は、センサーとオンボード制御システムによって、凍った個所を含む移動しにくい地面を走行しながら、方向を決め、元の場所に戻ることができる。BigDogのモーションセンサーとしては、関節の位置、関節の力、地面との接点、地面の負荷、レーザージャイロスコープ、ステレオビジョンシステムに対応したものがある。その他のセンサーは、油圧、油温、エンジンの温度、回転数、バッテリの充電状態など、システム内部の状態をモニタリングするために使われる。
米iRobot社も、民生向けの自動掃除ロボット「Roomba」など、多くの種類の自律型ロボットを製造している。同社のRoombaは複数の赤外線センサーを搭載しており、直接または機械式のパドルを用いて環境を感知することができる*4)。
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