MAGAZINE ARTICLES
|
ユニティゲインでも安定に動作するよう内部補償されたオペアンプには、ユーザーにとって、より容易に安全な回路を設計できるというメリットがある。しかし、そうした「完全補償型オペアンプ」では、AC性能の主要部分を犠牲にしていることも事実だ。本稿では、この種の製品とは異なる方針で設計された「非補償型オペアンプ」の概要とそのメリットについて解説する。 Walter Bacharowski 米National Semiconductor社 |
例えば、センサーからの信号を処理する回路において、振幅誤差を最小限に抑えたいというのはよくあることだ。こうした考えに基づく設計では、オペアンプの閉ループゲイン誤差について、センサーの動作周波数の全域にわたって考慮しなければならない。通常、オペアンプの帯域はゲインが3dB低下する周波数(以下、-3dB周波数)で規定されるが、-3dB周波数でのゲイン誤差は約30%にもなる。
オペアンプ単体の周波数応答と、オペアンプ回路として必要な増幅度の精度を関連付けるには、「有効帯域幅」という概念を用いると便利である。この有効帯域幅は、ゲイン誤差が所望値以内である範囲を表すものとする。
センサーの応答周波数は比較的低い。こうした低周波域では、オペアンプの開ループゲインが有限であることが理由で生じるゲイン誤差は小さい。低周波域に限れば、その最大周波数が有効帯域幅に含まれているか否かは、単極(シングルポール)で閉ループの周波数応答モデルを基に簡単に計算できる。また、オペアンプのデータシートに記載されるゲイン帯域幅積(GB積:ゲインと帯域幅の積)のような規格値を基に、有効帯域幅を求めるのも有効な方法だろう。
ここで、有効帯域幅の値を求める具体例を示すことにする。まずは、振幅の最大許容誤差を決める要因について考えてみる。ここでは、アナログ信号ラインの終端がA-Dコンバータへの入力となるアプリケーションを例にとる。この場合、最終的にはA-Dコンバータの分解能が信号の誤差に大きくかかわることになる。例として、許容最大誤差がA-Dコンバータの分解能の1/2(1/2LSB)であるとしよう。そうすると、A-Dコンバータの分解能が高くなれば、許容最大誤差は小さくなる。表1に、A-Dコンバータの分解能が8~22ビットの場合に1/2LSBがどのような大きさになるのかを示した。1/2LSBの大きさは、フルスケールを1として、以下の式で計算できる。
: 上式において、ERRORはA-Dコンバータにおける1/2LSBの大きさ、ADC_RESOLUTIONはA-Dコンバータの分解能を表す。
周波数応答が単極である場合、ゲイン誤差の周波数特性の評価には、正規化のための単極関数を利用するとよい。この単極関数では、閉ループゲインの-3dB周波数に相当する極の周波数fCを1Hzとし、ゲインは1倍(0dB)であるとする(図1)。この関数を利用すれば、ゲイン誤差が所望値以下に収まる周波数を簡単に計算できる。その計算結果から、閉ループゲインの-3dB帯域幅に対する比率として有効帯域幅が求まる。
ここで、-3dB周波数でのゲイン誤差が約30%であることと、少ないゲイン誤差を求める場合、広い帯域幅は得られないことを確認しておこう。
表2は単極関数を用いて計算したゲイン(GAIN)、ゲイン誤差(GAIN_ERROR)の例である。この表において、左端の列は周波数fを表す。これらの各周波数に対し、以下の式②、③、④から計算される値が左端から2~4番目の列の値だ。
次のステップは、上記の結果を基に、使用するA-Dコンバータの分解能の1/2LSBに相当するゲイン誤差が発生する周波数を求めることである。式④と式①が等しいと置いた結果得られる次の式⑤を使用すれば、ゲイン誤差が1/2LSBになる周波数が計算できる。
表1と式⑤を用いた計算結果を表3に示す。この表において、右端の列はゲイン誤差がA-Dコンバータの1/2LSBに等しくなる周波数である。これより低い周波数でのゲイン誤差は1/2LSBより小さくなる。すなわち、この周波数までの帯域幅が、使用するA-Dコンバータに対する有効帯域幅だということである。
例えば、10ビットのA-Dコンバータに信号を送るオペアンプの有効帯域幅は-3dB周波数の0.03126倍に位置し、14ビットのA-Dコンバータを利用する場合の有効帯域幅は-3dB周波数の0.007813に位置することになる。オペアンプの閉ループゲインにおける-3dB周波数を100kHzとすると、有効帯域幅は10ビットのA-Dコンバータでは31.3kHz、14ビットのA-Dコンバータでは7.81kHzになるということだ。この結果から、オペアンプの有効帯域幅は-3dB周波数よりもかなり低くなることがわかる。
1 オペアンプの「有効帯域幅」
MAX9617/MAX9618は、高精度、低ノイズアプリケーションで使用するために設計された、ゼロド…
MB39C313は、液晶パネルにおいて必要とされる4種類の電圧を1チップにて供給可能にしたシステム電…
正弦波、方形波、三角波発生器を自分用に1台作るのは、オーディオ周波数レンジであれば簡単です。このマイ…
診断ドリブン歩留まり解析で原因をより早期に特定
65nm以下の先端テクノロジ・ノードで開発されているICは、わずかな製造ばらつきがICの性能低下や故障を招く原因になります。さらに、設計に固有なフィーチャーに影…[メンター・グラフィックス・ジャパン]
Blackfin/SHARCプロセッサ用 電源セレクション・ガイド
アナログ・デバイセズのパワーマネジメント製品は、Blackfin製品とSHARC製品向けに最適な電源製品を提案します。シングル・プロセッサ、マルチ・プロセッサ、…[アナログ・デバイセズ]
アナログ・デバイセズに寄せられた珍問/難問集より<Issue11>
<コンパレータとオペアンプ ― ともに相交わることなかれ(あるいはパンチ君からのアドバイス)>Q.オペアンプで間に合うのに、なぜ高価なコンパレータを買うのでしょ…[アナログ・デバイセズ]
電源には関係なく-0.3V~44Vで動作する電流検出アンプの入力
電気システムや電気機械システムの電流モニタは、帰還を与えてシステム動作を改善し、故障の検出や診断を速め、効率を上げるために広く使われています。電流検出回路は、モ…[リニアテクノロジー]
簡単な並列接続により16Aを供給するデュアル8A DC/DC μModuleレギュレータ
■1個のパッケージに収められた2個の独立した8Aレギュレータ・システムLTM4 616はデュアル入力、デュアル出力のD C/ D CModuleレギュレータで、…[リニアテクノロジー]
アナログ・デジタルの仕様とパフォーマンス特性の用語集
この用語集は、テキサス・インスツルメンツのデルタ・シグマ()型、逐次近似レジスタ(SAR)、およびパイプライン ADコンバータの仕様と性能特性に関する定義を収録…[日本テキサス・インスツルメンツ]
革新的な検証アプローチEVEは、従来のエミュレータとラピッドプロトタイピングの長所を併せ持つ、まったく新しいハードウェア活用型検証手法を開発し、それを一枚のボー…[日本イヴ]
新しい検証アプローチEVEはハードウェア検証支援システムのパイオニアとして新しいアプローチを切り開いてきました。従来のエミュレーション・システムとラピッド・プロ…[日本イヴ]
電磁波解析専用ソフトウェア PAM-CEM
電磁波関連機器・部品の解析設計を支援する電磁波解析専用ソフトウェア(CAE)です[特長]・「EMC・EMI問題への対策」を支援 有限差分時間領域法(FDTD)の「PAM-CEM/FD」または有限要素時...[日本イーエスアイ]
|
アナログ電子回路コミュニティ
技術者のための掲示板サイト |
|
Design Hint&Tips
アナログ設計回路の基礎から最新技術動向まで |
|
最適なソリューションを提案する パナソニックの最新キーデバイス パナソニック エレクトロニックデバイス |
|
MCU EXPO.COM
MCUの総合情報サイト |
|
Green Power Solution
電源IC & アナログ情報サイト |
|
FPGA Insights
FPGAの総合情報サイト |
|
ANALOG TECH & INFO
アナログ半導体の総合情報サイト |
|
特集 カーエレJAPAN |
|
特集 ET 2009 |