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英国のファブレス半導体ベンダーAir Semiconductor社は2008年5月、日本の民生機器市場をターゲットとした製品の概要を明らかにした。その製品とは、2008年1月に発表されたGPS(global positioning system)対応チップ「Airwave 1」である。同社の共同創設者であるStephen Graham氏は、「この製品により、まずは日本のデジタルカメラの市場への参入を目指す」と語った。
Airwave 1がターゲットとするのは、デジタルカメラに位置取得の機能を持たせることである。写真の撮影時に、日時の情報などに加え、その写真を撮影した位置の情報も記録するジオタギング(GeoTagging:タグによる位置情報の埋め込み)を実現することを目指している。デジタルカメラ製品においてこの機能を実現する上で最大の課題となるのは、初期位置算出時間(TTFF:time to first fix)である。GPSを利用して現在の位置を特定する場合、「最大では5分程度」(Graham氏)の時間を要するという。すなわち、通常の方法でジオタギングを実現しようとすると、リアルタイム性が著しく欠けることになる。
Airwave 1は、この課題を解決する技術である。その根底にある考え方は、機器の電源(主機能用の電源)がオフの状態でも、GPSを利用して位置情報を継続して取得し続けることだ。Airwave 1は、図1のようにRF回路、DSP、マイクロプロセッサ、電源回路(消費電力の管理用回路)で構成されるCMOSチップである。この構成により、“位置取得用のアンテナ”として機能する。電源回路を内蔵しているのは、電池から直接電力供給を受けられるようにするためだ。これにより、機器の電源がオフしている状態でも独立して稼働できる。この方法でも、デジタルカメラ製品を購入して最初に電源を入れる際には、通常のGPS機器と同様にTTFFが数分かかる可能性がある。しかし、それ以降は常に位置情報を取得し続けているので、(実質的な)TTFFを「25ms程度」(Graham氏)に抑えることができる。
もちろん、このような方法では、そのチップの消費電力が問題になる。なぜなら、機器を使用していない間も、常にチップが位置情報の取得のために動作し続けていることになるからだ。Graham氏によれば、「その消費電流は100mA程度に上るので、電池で駆動するモバイル機器に適用するのは不可能だ」という。この消費電力の問題に対処するために、Airwave 1が採用しているアルゴリズムの基本は、「精度が必要のない状況では、低精度/低消費電力で位置情報を取得し、精度が必要な状況でだけ、高精度/高消費電力で稼働する」というものである。ハードウエア、ソフトウエアともに、このアルゴリズムを実現するために最適化してある。それにより、「常時稼働していても、その消費電力は平均すれば1mA程度に抑えられる」(Graham氏)という。つまり、「通常の方式と比較して、消費電力は1/100」であるとし、Graham氏は同社の技術に自信を見せた。Airwave 1は現在、テストが完了した段階にあり、2008年中にサンプル出荷する予定だという。
Air Semiconductor社は、デジタルカメラ以外の民生機器もターゲットとしている。日本が重要な市場になるととらえており、1年ほど前に日本にも事務所を開設した。現在は、同社技術の採用に向けて、日本のデジタルカメラメーカーと「密度の濃い、深いディスカッション」(Graham氏)を行っているところだという。
(飴本 健)
連絡先:日本代表事務所、03-5579-9284
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