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飴本 健 EDN Japan編集長 |
本誌2008年2月号のこのコーナーで、自己紹介したとおり、数年前に、私はハードウエア技術者からソフトウエアの雑誌の編集者へと職を変えました。仕事の内容が異なるので、当初わからないことばかりだったのは当然ですが、ハードウエアの世界からソフトウエアの世界に身の置き場を変えたことで、違和感を覚える場面がいくつかありました。その1つが「独自技術」という単語に対する人々の反応です。
言うまでもなく、ハードウエアの世界では、独自技術というのは誇るべきものです。例えば、回路に独自の工夫を施すことで何らかのメリットが得られるなら、それは賞賛されるべきことでしょう。その工夫が知的財産としてさらに付加価値を生み出すなら、その意義はさらに大きなものになります。
それに対し、ソフトウエア(特にIT関連)の世界では、「独自技術」という言葉に対して、明らかな拒否反応があります。例えば、新製品のニュース記事などに、「同社の独自技術を適用することで、こうしたメリットが得られた」などと書くと、その会社から「『独自技術』という言葉で説明するのはやめてくれ。われわれは、常に『オープン』であることを重要視しているのだ」という意味のクレームが寄せられるといった具合です。
このようなことになる理由は、ソフトウエアの世界では、「技術」という言葉が「仕様」、「規格」といった言葉に近いニュアンスで使われるからです(もちろん、仕様や規格が定められる背景には、技術的/論理的な裏付けがあります)。特にIT系のソフトウエア企業には、オープンな仕様やインフラをベースとしたアプリケーションを開発することによって勝負することが求められます。そのため、「独自技術(プロプライエタリな技術)」という言葉は、非常にネガティブなものとしてとらえられるのです。
少し古い話題になりますが、2007年11月に、米Google社が携帯電話機向けのオープンなプラットフォーム「Android」を発表しました。ハードウエアとより密な関係にある組み込みの世界に、従来の仕様/規格とはまた少し異なるオープンな文化が進出してきたことで、今後のエレクトロニクス業界にどのような変化が現われるのか、注目したいところです。
(飴本 健 amemoto@reedbusiness.jp)
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