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日本の人口減少や学生の理工学離れは、電気/電子業界にとどまらず、産業界に大きな波紋を投げかけている。世界の半導体業界を見ると、インドや中国の技術者が米国西海岸にある企業や大学/研究機関で活躍している。最近は日本の大学でもアジアからの留学生が増えている。アジアの大学や研究機関と交流を深める慶應義塾大学の黒田 忠広氏に、学生の理工学離れに対する考えや産学連携の方向性について語ってもらった。
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黒田 忠広 氏
慶應義塾大学 理工学部電子工学科 教授。1982年に東京大学工学部電気工学科卒業、同年東芝に入社。2000年に慶應義塾大学に移り、2002年より教授。広島大学と米カリフォルニア大学バークレイ校の客員教授を兼任。IEEEフェロー、IEEE上級講師。
研究室のプロフィール
ユビキタス情報化社会の創造を支えるシステムLSIの設計技術を研究している。具体的には、人の顔を検出してビデオカメラなどの焦点や露光、拡大率を自動制御する画像認識技術、環境に関する情報から人に役立つものを抽出して加工するセンサーネットワーク技術、磁界結合を利用したチップ間無線通信技術などを扱う。
日本では学生の理工学離れが10年以上も続いている。人口が減少したり学生の理工学離れが進んだりといったことが問題視されているが、おそらくそれによって日本の産業が衰退するということにはならない。このことを裏付ける例を米国に見ることができる。日本よりも早く、20年前に、米国人にとっては電子工業は魅力に乏しい産業となった。しかし、米国の電子産業は衰退していない。むしろ、米国のIC産業は世界をリードしている。その理由はインドや中国、イランなどから優秀な研究者が集まってきているからだ。
いずれ韓国や台湾、中国でも、米国や日本のように学生の理工学離れが起きるだろう。つまり、学生の理工学離れは時代の変化だと理解することも大切だ。確かに学生の理工学離れは深刻な問題ではあるが、それは必然であると考え、外国の人材を日本に呼び込むすべを考えるべきだ。
わたしの研究室では現在、4人の中国人が留学生として学んでいる。インドやマレーシア、インドネシアからの留学生もいる。海外から優秀な学生を受け入れるために、慶応義塾大学では「インターナショナルコース」を設けている。日本政府からの奨学金を受けられる国費留学生となるには、日本語をマスターしていることが条件となっている。これに対して、当校のインターナショナルコースは、英語をマスターしていれば応募できる。中国人やインド人の英語力はレベルが高い。
アジアの優秀な学生を日本に呼び寄せるには、まず日本語という語学の壁をなくすことが重要だ。海外の技術者には日本で働きたいという思いがある。日本での留学を経験すると、その意識はますます強くなるようだ。大学を卒業した後は日本の企業で働いてもらう。その後、母国の研究体制が整備されたら帰国して、その拠点のキーマンとして研究を続け、日本の研究者とのパイプ役を果たしてもらいたい。こういう循環を作ることが、日本の電子産業の衰退を防ぐ1つの方法となるのではないか。
当研究室では、清華大学、韓国科学技術院(KAIST:Korea Advanced Institute of Science and Technology)とプライベートなワークショップ「インターナショナルワークショップ」を毎年開催している。アジアとの交流や人材の確保、技術者同士の交流などが狙いだが、重要なことは学生同士がお互いの国の文化や風習を理解し、研究のネットワークを広げることだ。
このインターナショナルワークショップは2008年には中国で開催するが、この催しの主旨に賛同してくれた米Intel社の日本法人が当研究室に寄付をしてくれた。この資金を使って当研究室の学生を1人でも多く参加させたい。国際交流に参加すると学生の目つきが変わる。国際化の重要性に気付き、研究活動に対するモチベーションも高まるようだ。
大学の教授に産業界出身者が増えたこともあって、従来に比べると産学連携は強化されてきた。これとは別に、産学間のギャップを埋める方法として、新しい形も考えられる。それは、有限責任事業組合(LLP:limited liability partnership)や合同会社(LLC:limited liability company)の制度を活用して、研究者がLLPやLLCを設立することだ。LLPやLLCが、大学で生まれたアイデアを企業で使えるようなプログラムコードにして渡すのである。そうすれば大学と企業の連携役を果たすことができる。
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