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Jim McLucas |
筆者は以前、米EDN誌で高精度/低価格のピーク検出回路を紹介したが*1)、本稿ではそれを発展させた高精度/広帯域のピーク検出回路を紹介する(図1)。検出可能な周波数範囲は入力信号の最大レベルにも依存するが、15MHz~30MHz、あるいはそれ以上の周波数にも対応可能である。回路構成の主な特徴は高スルーレート/低伝播遅延の超高速コンパレータを使用する点にある。図1の回路では、そのコンパレータとして伝播遅延が7nsの米Analog Devices社製「AD8561」を使用した*2)。
このピーク検出回路は、入力信号の周波数が100Hz~14MHz程度の範囲、振幅が100mVpp~6Vppの範囲で高精度に働く。ピーク値の検出精度は、ほぼ全範囲にわたって±3%を達成する。14MHzを超える高周波の信号に対しても使用可能だが、検出可能な信号振幅は小さくなる。また、回路の入力インピーダンスは高く、約100kΩの抵抗と3pFの容量の並列接続インピーダンスと等価である。そのため、大抵の計測対象回路であれば、この検出回路が負荷として重過ぎることにはならない。ちなみに、3pFの入力容量は周波数15MHzにおいて3.5kΩのインピーダンスに相当する。
図1において、IC1とその周辺回路素子は高入力インピーダンスのバッファを構成する。検出対象のAC信号はこのバッファに入力され、その出力AC信号が超高速コンパレータIC3に送られる。IC1の出力はオペアンプIC2Aの働きにより0Vを中心とする信号となる。つまり、IC1の出力(6番端子)のDCレベルをIC2Aによりサンプリング/反転してIC1の非反転入力端子(3番端子)に入力するというループが構成され、そのループ動作によりIC1の出力DCレベルが調整されるのである。この動作はIC1の入力オフセット電圧やオフセット電流の影響を除去する効果も持つ。抵抗R1、R4およびコンデンサC1は、25MHz以上の周波数に対しては、わずかではあるがゲインを上げるように働く。一方、抵抗R1、R4およびコンデンサC5により、ゲインが低下し始める周波数が決まる。
入力信号はバッファアンプに容量結合で入力される。そのため、正常な動作のためには、入力信号は正弦波のような対称波形でなければならない。入力信号の波形が非対称の場合、C2を経由した後の信号波形ではピーク値がシフトするため、その検出動作が不正確になる。
コンパレータIC3は、2番端子への入力が3番端子への入力DCレベルよりも高ければ、ハイの電圧レベルを出力する。この出力が抵抗R17、ダイオードD4、D5、D6、抵抗R23を経由してコンデンサC19を充電する。C19の電圧がIC3の2番端子のピーク信号レベルよりも高くなると、コンパレータ出力による充電が停止する。平衡状態になると、コンパレータ出力はパルス信号となり、その振幅と幅はC19の電圧を入力信号のピークレベルと等しく保つのに必要な値となる。高入力インピーダンスバッファのIC2BはC19が充電されない状態での放電を最小に抑える。
抵抗R24、R25、コンデンサC20で構成されるフィルタにより、DC出力レベルが2.1%だけ減衰する。この減衰により、出力レベルがIC1の3番端子への入力信号のレベルよりもわずかに高くなる傾向が抑制される。
IC2Cを用いた回路部は工夫した点だ。IC2Cの出力端子(14番端子)はC19の電圧の増大に対応してブースト電圧を出力する。このブースト電圧が抵抗R16に加わり、R16と抵抗R17の結合点の電圧をC19への充電量の増大に対応して持ち上げる。これにより、D4に加わるパルス振幅が増大する。このような動作により、C19の電圧は充電電流が増大してもほぼ一定に保持される。
ダイオードD1は、IC3の出力が電源電圧より高くなるのを防ぐ。ダイオードD2は、起動時にブースト電圧が過大に負の方向に振れないよう作用してラッチアップを防止する。コンパレータとダイオードD3によるスイッチング動作によって、ブースト電圧の過渡的な正方向の過大電圧が吸収され、ラッチアップが回避される。この回路には動作が不安定になる要因や特性は存在しない。
最大入力電圧はコンパレータ(AD8561)のコモンモード入力電圧の規格である6Vppとなる。入力バッファ用の電源電圧はコンパレータに過大な電圧が入力されないよう±6.5Vを使用する。
この回路の性能を300MHz帯域のオシロスコープを使用して計測した。その結果を表1に示す。この結果は手元にある利用可能な最良の計測器を使用して取得したデータではあるが、それでも計測誤差がかなり含まれている。従って、正確な性能データとしてではなく、回路動作を代表するものであると理解されたい。
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