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次にベンチマークテストに用いるストレージデバイスとして何を選択するかを考えなければならなかった。最初に思い浮かんだのは米Seagate社の「ST3500601XS-RK」である(図2(a))。この外部ストレージデバイスは3ギガビット/秒のeSATAをサポートしているほか、16Mバイトのキャッシュメモリーを備えた7200rpm動作で容量500GバイトのHDDを1台を内蔵している。
米Maxtor社(現在は、Seagate社の傘下にある)の「OneTouch III Turbo Edition(以下、OneTouch III)」は、16Mバイトのキャッシュメモリーを備えた7200rpm動作で容量500GバイトのHDDを2台内蔵している(図2(b))。「OneTouch Manager」という管理ソフトウエアを使うことで、これらのHDDをストライプ(RAID 0)構成またはミラー(RAID 1)構成に変更することもできる。OneTouch IIIには、USB 2.0、FireWire 400、FireWire 800のインターフェースオプションがある。
SV2000は、8Mバイトのキャッシュメモリーを備えた7200rpm動作で容量160GバイトのHDDを5台内蔵している(図2(c))。コンティギュアスやコンカチネイト、ストライプ、ミラー、ミラーストライプ(RAID 1+0)、そしてソフトウエアベースのRAIDであるパリティRAID(RAID 5)などの構成での動作が可能だ。
一見したところ、これら3つの製品は大きく異なっていて、ベンチマークテストで比較するのは難しいように思える(表3)。しかし、実際にはそれほどでもなかった。例えばOneTouch IIIは2つのHDDに対し並列に読み込みと書き出しを行うため、パフォーマンスが高いストライプ、あるいは単一HDDに相当するミラーでも動作することに注目してほしい。同様に、5個のHDDを内蔵したSV2000も、単一HDDに相当するコンティギュアス、コンカチネイト、ミラーなどや、デュアルHDD相当のミラーストライプで動作することができる。結果を見るときは、これらの共通する特徴を覚えておいてほしい。
もう1つ忘れてはならないことは、RAID構成は単一HDD構成に比べて処理のオーバーヘッドが大きくなることだ。ミラー構成の場合、システムは共通のデータを両方のHDDに書き出す必要があり、両方のHDDから読み込んだデータが一致していることを確認しなくてはならない。ストライプでは、全情報が分割され各HDDに書き出される。そして、読み込みの際に各HDDからフェッチされた部分データが結合される。ミラーストライプは、ストライプとミラーを組み合わせたものである。パリティRAIDはさらにそれよりも複雑で、書き出し中にパリティ情報の計算を行い、読み込みの際にはこれと同じパリティデータを使って検証を行う必要がある。
SV2000には組み込みRISC CPUを備えたストレージプロセッサ「SiI4726」が内蔵されている。このRISC CPUは、RAIDコントロールを含めたすべてのHDDの管理を行うため、ホストコンピュータのCPUの処理負荷を削減できる。筆者が整理したベンチマーク結果は、SV2000のSiI4726によるコンティギュアスと、ソフトウエアであるSATARaid5ManagerによってRAIDを実現したケースについてのものである。SV2000のコンフィギュレーション機能は非常に優れており、5つのHDDの能力をさまざまに組み合わせることが可能だ。例えば、異なるタイプによる複数のパーティションを作成したり、1つのHDD上に複数の仮想的なHDDを作成したりすることもできる。
また、比較のために筆者はマザーボード上にある内蔵SATAに米Western Digital社製の150GバイトのHDD「Raptor」を2台接続してストライプのベンチマークを行った。このRaptorは、1万rpmで動作し16Mバイトのキャッシュメモリーを備えている。米NVIDIA社のRAID管理ユーティリティを使えば、これらのHDDを64Kバイトのブロックで構成し、NTFS(new technology file system)フォーマットの2つのパーティションに分割できる。
SV2000でストライプやミラーストライプ、パリティRAIDを実施するとブロックサイズは8Kバイトである。OneTouch IIIでストライプを実施した場合のサイズは分からなかった。
筆者がNTFSでフォーマットしたHDD(ST3500601XS-RK、OneTouch IIIとSV2000)には、Windows XPのデフォルトのクラスタサイズを適用した。
上述したような内容で行ったベンチマークテストの結果を表4に示す。今回のプロジェクトを通じて分かったことがいくつかあった。それが理由で、一部の構成でのテストはあきらめるしかなかった。その問題の1つは、SV2000をeSATAのアドインカードに接続したときに、SATARaid5Managerソフトウエアを介してSV2000にアクセスできなかったことだ。そのため、eSATAのアドインカードとSV2000の組み合わせでは、コンティギュアスの構成のみでしかストレージデバイスをテストできなかった。
OneTouch Managerについても、PCIe FireWire 800カード(NitroAV 1394b)をシステムに接続した状態でこのソフトを実行しようとすると、OneTouch IIIがカードに接続されているかどうかに関係なく、必ずエラーメッセージが出て終了してしまった。このような問題は、マザーボード上のFireWire 400でもPCIのFireWire 800カードでも見られなかったため、OneTouch IIIをストライプからミラーに再設定する気にはなれなかった。筆者の一番の目的は、可能な限り最速の構成(ストライプ)で、FireWire 800の転送速度を最大限に高めた状態でストレージデバイスをテストすることであり、NitroAV 1394bカードとOneTouch Managerの問題を解決することには大きな関心はなかった。
1つのインターフェースを別のインターフェースと比較するときは、HDDの構成をマッチングさせることから始めるとよい。例えば、ミラーのOneTouch IIIと、ST3500601XS-RKやコンティギュアス/コンカチネイト/ミラーのSV2000を比較したり、ストライプのOneTouch IIIとミラーストライプ/パリティRAID/ストライプのSV2000を比較したりすることである。そして、複数のHDDに対する読み込みと書き出しを並列処理することによりパフォーマンスが向上するかどうかを検証する。そうすることで、インターフェースに接続しているストレージデバイスではなく、インターフェースそのものがパフォーマンス上のボトルネックになっているか否かを見極めることができる。
また、SV2000をパリティRAID構成で動作させると、パフォーマンスに大きな影響があることに注意したい。SV2000が内蔵しているストレージプロセッサのSiI4726はパリティRAIDをサポートしていない。そのため、この構成は、ソフトウエア処理によって実現されているからである。
Silicon Image社でSteelVine製品のマネジャを務めるJason Green氏は、「SATARaid5Managerを使う場合、PCI-Xインターフェースに対応するSiI3124を使うと動作速度が上がるはずだ。1レーンのPCIeを備えたSiI3531では、1レーンPCIeという制約があるために速度が落ちるだろう」とコメントしている。
一方、SV2000の5つのHDDによるストライプは非常に高速だった。そのパフォーマンスは2つの内蔵SATAのパフォーマンスに近く、時としてそれを超えることもあった。この内蔵SATAに接続したHDDは、回転速度が約40%も速いHDD(Raptor)で構成され、それぞれがSV2000の2倍の容量のRAMキャッシュを備えている。
ベンチマークの結果から、USB 2.0とFireWire 400とでは、USB 2.0のほうが信号速度は20%速いものの、読み込みパフォーマンスでは常にFireWire 400より劣ることが明らかとなった。これは、USBプロトコルのオーバーヘッドが大きいこと、そしてUSBではホストがトランザクションのアービトレーションとスケジューリングを行わなくてはならないことが、この差を生み出している原因ではないかと考えられる。ホストの動作が必要となれば、今回のベンチマーキングプロジェクトでも使用している、比較的単純なポイントツーポイントのFireWire 400/800接続を選びたくなる。この接続ならば、より複雑な構成で増大する可能性のあるアービトレーションによるオーバーヘッドを気にすることもない。
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