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8ビットプロセッサと32ビットプロセッサの性能や価格、消費電力に対抗して、16ビットプロセッサが市場で生き残れる余地はあるのだろうか。 by Robert Cravotta |
16ビットプロセッサが終えんを迎える日が近づいていると以前からささやかれている。米Intel社は2007年3月30日をもって、16ビットプロセッサを含む「MCS51」、「MCS251」、「MCS96」、「8018x」、「8038x」、「80486DXx」、「i960」の受注を終了した。これらのチップの出荷は2007年9月28日までに完了となる*1)。後は、16ビットプロセッサを製造しているほかの半導体メーカーがいつIntel社に続くかだが、本当にそうなるのだろうか。16ビットプロセッサは業界の歴史をつづった書物で脚注として取り上げられるレベルのものになる運命なのか。
かつて8ビットプロセッサの生産終了も大々的に告知されたが、これはいまだ実現されてはいない。8ビットプロセッサがこれからも一定の市場シェアを確保し続けるということに、異論を唱える人はいないだろう。8ビットプロセッサは市場で決して不振だったわけではない。むしろ小さいパッケージサイズや少ない消費電力、コストの安さといった特徴を生かし、数年前までは経済的/技術的な理由で使われていなかった用途にも広く利用されるようになっていった。2006年に、組み込みシステムの設計者に対して2つの調査が行われ、プロセッサの選択に関する質問がなされた。選択されたプロセッサの全体に占める割合とその分布には2つの調査の間で差があったが、いずれの調査結果でも、8ビットプロセッサと16ビットプロセッサを利用すると答えた回答者の数は伸びていた*2)、*3)。
ハイエンドの8ビットプロセッサはローエンドの16ビットプロセッサと同等の処理能力と機能を備えつつある。一方で、ローエンドの32ビットプロセッサは16ビットプロセッサの価格帯にまで下がってきた。こうした背景が、16ビットプロセッサの存続を危ぶむ声が上がる理由となっている。米Tensilica社のストラテジックマーケティングマネジャを務めるSteve Leibson氏も、2006年にそう主張していた一人だ*4)。Leibson氏の主張の要点は、システムの総コストに占める割合を見ると、16ビットプロセッサと32ビットプロセッサのコストの差がどんどん小さくなってきているということである。さらに「16ビットプロセッサで実現できる機能は、32ビットプロセッサでも実現することができ、システムあるいはチップにかかるコストの差もほとんどない」と同氏は指摘している。このことは、16ビットプロセッサは供給せず、32ビットプロセッサのみを発売しているメーカーが行う多くのプレゼンテーションの中で最も強調される点だ。
米EDN誌が作成する『EDN Microprocessor Directory』(http://www.edn.com/microdirectory)の2006年度版では、Intel社のほかに14社が、16ビットのマイクロプロセッサ/マイクロコントローラの情報をエンジニアに向けて提供している。同じく『EDN's DSP Directory』(http://www.edn.com/dspdirectory)の2006年度版には数多くの16ビットDSPも掲載されている。最近になって16ビット製品の品ぞろえに消極的となったメーカーもあるが、多くのメーカーは依然として16ビット製品への開発投資を続け、その販売にも力を入れている。これらのメーカーは終えんを迎えようとしている製品ラインから少しでも利益を上げようと、やみくもに数百万米ドルもの投資をしているのだろうか。
一見すると、8ビット/32ビットプロセッサが16ビットプロセッサの領域を侵食しているように思える。しかし、8ビットプロセッサのメーカーにとっても、ここ数年は再起をかけた正念場だった。筆者は一昨年、8ビット/32ビット製品に注目し、価格や消費電力、パッケージサイズの観点から、ローエンドの組み込みシステムには8ビットプロセッサが最適であるとの記事を執筆した*5)。その記事では、8ビットプロセッサが32ビットプロセッサの低価格化の影響をいかに回避したかを明らかにした。さらに昨年執筆した記事では、処理性能の観点からこの話題を掘り下げた*6)。本稿は、その記事をさらに拡張したものとしたい。
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