MAGAZINE ARTICLES
|
従来、SPICEは回路シミュレータとして広く使われてきた。しかし、電子デバイスや電子機器の高周波化/高密度化が進んだ結果、その限界が問題となってきた。SPICEでは、比較的単純な回路に対してさえも、電磁界の影響による振る舞いの詳細を検証することが困難なのだ。この問題を解決し、信号品質の検証や高周波ICの設計などで威力を発揮するのが電磁界解析ツールである。 Paul Rako |
SPICE(simulation program with integrated circuit emphasis)*1)、*2)は、電子回路の動作解析に有用なツールである。その解析は主に時間領域で行われ、微小な時間ステップごとに電圧と電流を計算する。その結果をオシロスコープと同様な波形として出力するのが基本機能だ。
設計者にとって有用であるはずのSPICEだが、実は設計者の頭痛の種にもなっている(別掲記事「SPICEの問題点」を参照)。このことは、5本のSPICEシミュレータのうち、1本しか現実の回路動作に適合する結果が出せなかったという例からうかがえる*3)。
なぜこのように現実とシミュレーションとの間に差があるのだろうか。この差は、SPICEでの入力が回路図を基にしたものであることに起因する。SPICEでは、モデルとして近似した計算式と、回路素子を寄せ集めたものとして回路を扱う。この近似式には、実際の回路に現われるすべての物理的な対象や現象に関する情報が含まれているわけではない。最も大きな問題は、電磁界の影響を正しく盛り込むことができないことである。
SPICEによって、回路素子だけでなく伝送線路も含めて解析することも可能ではある。だが、その場合にも、伝送線路は伝送線路そのものとして取り扱われるわけではなく、線路長に対応した集中定数回路として扱われる。つまりSPICEでは伝送損失特性を電磁界の影響も考慮した物理現象や分布定数として計算するのではなく、簡単なパラメータで定義された損失特性式に基づいて計算を行うのである。言い換えれば、SPICEはプリント基板のレイアウトや信号ライン間の干渉といった現象も含めて解析可能なものではないのだ。また、SPICEで表皮効果などの物理現象を取り扱うことも可能だが、その際には伝送線路の場合と同様の手法が用いられる。大事なのは、SPICEでのモデル化は、あくまでも近似的なものであるということだ*4)、*5)
SPICEは強力なツールであり、扱いにくい問題にも適用できる。SPICEの基本的な機能の根幹にあるのは、時間領域でキルヒホッフの公式を解くことである。SPICEでは、回路ネットリストからコンダクタンス行列を生成し、行列演算を用いて計算を行う。計算の進め方としては、1つ目の時間ステップにおいて計算を繰り返し、結果が正解に十分近いと判定できると、次の時間ステップに進むということを繰り返す。SPICEでは、抵抗/インダクタ/コンデンサなどの単純な受動素子が直列/並列に接続されたネットワークとして回路をモデル化する。このモデルは温度による影響も表現する。能動素子は受動素子の組み合わせとしてモデル化し、それに可変電圧源と可変電流源を組み合わせる。また、ノイズの印加など直接モデル化しにくい現象/効果は、仮想素子を用いた式によって与えることができる。
SPICEの問題点は、解析結果の良しあしがモデルの良しあしによって決まることである。ICの設計者はSPICEに頼っているが、その結果が現実には起こり得ないようなものであることは珍しくないし、基板の設計者もSPICEに不満を感じたことがあろう。そのような経験を持つ人が多いことから、SPICEの出す解析結果の妥当性、SPICEそのものの有用性について疑問が呈されることが多くなっている。
ICの設計部門は、現実のトランジスタや受動素子の動作によりよく適合するモデルを入手しようと、数十~数百万米ドルもの費用を払っている。このような努力にもかかわらず、動作温度や高密度配置の影響によって、ICの特性を予測することが困難になっている。
米National Semiconductor社のBob Pease氏は、「SPICEには何度もだまされたし、明らかに間違っている解もあった。SPICEの結果がどうであれ、それを信じ込むのは良くない。設計者はとにかく頭を使わなければならない。シミュレーションではなく、紙と鉛筆を使うのだ。SPICEの結果が正しいこともあるが、回路がどのように動作するのかについて自分自身で解析し理解しなければ、正しいのかどうかも判断できないだろう」と述べる。
設計者はSPICEの解析結果を十分に吟味し、予期しない結果があれば、その妥当性を十分に検討しなければならない。
SPICEは線形性を前提として行列計算を行うが、ダイオードやトランジスタの特性は本質的に非線形である。また、特にダイオードでは指数関数的な電流/電圧特性を扱うため、電流/電圧の動作点がわずかに狂うと、それ以降の計算結果が大きくずれることになる。このような計算が時間ステップごとに繰り返されると、結果が収束しない確率も高くなり、最終的にシミュレーションが「収束エラー」のメッセージで終了することになる。SPICEによってトランスのような非線形磁気素子を解析する場合には、このような収束性の問題がさらにクローズアップされることになる。
組込みLinux開発への新たなアプローチ完全な組込みLinuxディストリビューションと開発期間を短縮…
Google Android™を使用して商用製品を開発する設計エンジニアを対象にしたプロフェッショナ…
他には見られない優れた技術経験により、MontaVistaのチームがLinuxの展開の加速化と開発リ…
ZeBu-Server は、ラピッド・プロトタイピング並みの価格対性能比と容易なセットアップ、および…
ZScanner 700 CXは、実績のある手持ち型ZScanner 700プラットフォームに、フル…
診断ドリブン歩留まり解析で原因をより早期に特定
65nm以下の先端テクノロジ・ノードで開発されているICは、わずかな製造ばらつきがICの性能低下や故障を招く原因になります。さらに、設計に固有なフィーチャーに影…[メンター・グラフィックス・ジャパン]
Catapult C SynthesisによるSystemCモデリング、合成および検証
Catapult C Synthesisは、複雑なASICのシステムレベルでのモデリング、検証、合成のためにSystemCサポートを追加しました。サイクル精度と…[メンター・グラフィックス・ジャパン]
アナログ・デバイセズに寄せられた珍問/難問集より<Issue 28>
電気によるアンプの発熱はどんな具合か?(あるいは正確な温度測定とはすべて程度の問題である)Q. 小型パッケージのオペアンプや類似のデバイスのダイ温度を測定する一…[アナログ・デバイセズ]
FPGA向け電源回路設計における考慮事項
FPGA向けの電源要件はますます厳しくなっているが、最新世代のFPGA向けの電源要件をサポートするナショナルの主要製品を紹介。[ナショナル セミコンダクター ジャパン]
最小2.2Vの入力で動作する降圧同期整流式コントローラ
テレコムとコンピュータ関係のアプリケーションは、非常に低い入力電圧で動作可能な高効率降圧DC/DCコンバータを必要とします。高出力電力同期整流式コントローラLT…[リニアテクノロジー]
電源には関係なく-0.3V~44Vで動作する電流検出アンプの入力
電気システムや電気機械システムの電流モニタは、帰還を与えてシステム動作を改善し、故障の検出や診断を速め、効率を上げるために広く使われています。電流検出回路は、モ…[リニアテクノロジー]
データ・コンバータのドリフトに関する設計者の必須知識: 最悪劣化度の構成要素を理解して仕様の条件を減らす
アナログ-デジタル/デジタル-アナログ・コンバータの確度は温度変化によって劣化しますが、厳密にはどの程度まで劣化するのでしょうか。設計者にはよく分かっていること…[日本テキサス・インスツルメンツ]
計装アンプ/差動アンプを AC 結合で使用する
信号処理関係のアプリケーションでは、DC(直流)に存在する同相ノイズから AC(交流)信号を選り分けて集めなければならないことがよくあります。計装アンプ(IA)…[日本テキサス・インスツルメンツ]
ZeBu Multi-Media Board (ZeBu-MMB) は、ZeBu検証プラットフォームをマルチメディアやコンシューマのアプリケーションで必要なあら…[日本イヴ]
システムレベル・仮想プラットフォームを手早く構築するためのトランザクタからなる仮想コンポーネント・ライブラリをご紹介します。ZeBuの仮想プラットフォームは、M…[日本イヴ]
電磁波解析専用ソフトウェア PAM-CEM
電磁波関連機器・部品の解析設計を支援する電磁波解析専用ソフトウェア(CAE)です[特長]・「EMC・EMI問題への対策」を支援 有限差分時間領域法(FDTD)の「PAM-CEM/FD」または有限要素時...[日本イーエスアイ]
|
アナログ電子回路コミュニティ
技術者のための掲示板サイト |
|
Design Hint&Tips
アナログ設計回路の基礎から最新技術動向まで |
|
最適なソリューションを提案する パナソニックの最新キーデバイス パナソニック エレクトロニックデバイス |
|
MCU EXPO.COM
MCUの総合情報サイト |
|
Green Power Solution
電源IC & アナログ情報サイト |
|
FPGA Insights
FPGAの総合情報サイト |
|
ANALOG TECH & INFO
アナログ半導体の総合情報サイト |
|
特集 カーエレJAPAN |
|
特集 ET 2009 |