FPGAは、いまや組み込み機器の中で中核を成す半導体の1つになろうとしている。ASIC/SoC(system on chip)の開発費が高騰し開発期間も長期化する中で、FPGAは設計の柔軟性を持つことに加え、プロセッサコアの搭載や高性能DSPコアのサポートなど、機能や性能面での進化にも目覚しいものがある。Altera社のRobert Blake氏は「『FPGA+ストラクチャードASIC』という設計手法に早く移行できた企業が機器市場で競争力を持つことになる」といい切る。
FPGAに対するコンスーマ機器メーカーの要求は。
大きく分けて3つある。1つ目はコスト削減。2つ目がFPGAからASICへのスムーズな移行が可能であること。3つ目は顧客が市場での製品競争力を高めるため、柔軟に新機能や付加価値を追加できるかどうかである。チップの価格も顧客が目標とする金額に近づき、回路の規模や性能もニーズに合致してきた。その結果、当社のFPGAやそれをベースにしたソリューションは、顧客が開発する機器の中核となる部分に使われている。
機器の中核部分とは具体的にどういうところか。
例えば、自動車向けの液晶モニターに搭載されているプロセッサは、FPGAに内蔵された当社の「Niosコア」のみで、ほかのプロセッサは使われていない。このプロセッサでスケーリングやオーバーレイなどの画像処理を行っている。ワイヤレス機器ではFPGAがモデムソリューションとして使われている。さらに、一般的なディスプレイ装置では画像のスケーリングや精細度を向上するためのエンハンスメント、タイミングコントロールなどの機能をFPGAで実現しているケースもある。
機器設計において顧客の考え方に変化はあるのか。
特にコンスーマ機器の市場は競争が激しい。そのため、機器メーカーはローコストモデルからハイエンドモデルまで製品のプラットフォームを共通化しようとしている。当社のFPGAは集積度の低いものから高いものまで484端子の共通パッケージで統一しており、端子の互換性がある。このため、顧客が設計した回路を機器に実装する際に、ハイエンドモデルには集積度の高いFPGAを使い、ローコストモデルには集積度の低いFPGAを用いるといった具合に使い分けることができる。そのようにしても顧客はプリント基板を再設計する必要がない。共通プラットフォーム化にはコストメリットがあり、多様化が進むコンスーマ機器に向いている。
日本ではASICを使う顧客がまだ多いと聞くが。
日本でもASICに対する意識は変わってきている。その理由の1つに経済的な外的要因がある。製造プロセスの微細化によってASICの開発コストが急激に上昇している。マスク代のコストだけではなく、チップの設計や検証の時間も増大している。同時に日本ではR&D投資が横ばいまたは減少している。このため社内でASICを開発できなくなっているという声も聞く。それを考えると、顧客はASICから、「FPGA+ストラクチャードASIC」という設計手法に早く変えていくことが重要だ。早く移行できた企業が機器市場での競争力を持つことになるだろう。
ストラクチャードASICに対する市場の反応はどうか
当社は半導体メーカーの中で唯一、FPGAとストラクチャードASIC「HardCopy」の両方を供給しているメーカーだ。ストラクチャードASICのようなマスタースライス型のASICの場合、顧客の要求に合わせてロジックやメモリー、ハードマクロIPなどを組み込んだマスタースライスを事前に準備する必要がある。当社はFPGAメーカーであり、またこれまでにさまざまな顧客の要求に対応してきた経験を持つことから、最適なマスタースライスを準備できる。しかも当社にとってHard Copyは新しい顧客を取り込むチャンスでもある。顧客もFPGAとストラクチャードASICの両方のソリューションを選べることで、リスクを回避できる。ハイエンドのFPGAを選択するときにHardCopyを持っていることが当社を選択する理由の1つにもなっており、他社との差異化につながっているのである。
(聞き手:馬本 隆綱)
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