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2005.10
CAT5トラックの新方式
イーサネットに取って代わるか?
――鍵はデータ遅延

デジタルオーディオ・データを、最小の遅延時間、99.999%の信頼度で長い距離、高速で伝送したいと考える人はどのくらいいるだろう。従来のイーサネットで十分だろうか。それともオーディオに向けたさらなる最適化が必要だろうか。
Brian Dipert

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 次回コンサートに行かれる時には、ステージ上の機器と、ミキシング・ボードをつなぐケーブルに注目してほしい。1本もしくは数本の太い蛇のようなケーブルが這っているだろう。何本かのワイヤーを束ねたもので、各ワイヤーはステージから、あるいはステージへ、それぞれ異なるアナログの音声データを運んでいる。重い? かさ張る? 電磁波の放射? 環境雑音からの影響が心配? その通り。これらの問題が従来のアナログ接続方法を難しくしていた。このような原始的な手法が多くのレコーディング・スタジオや、オーディオ設備のある教会や事務所、学校のホール等でいまだに使用されているのはなぜだろうか。
 業務用、産業用、プロ向けのオーディオ業界の進歩はカタツムリのようにゆっくりしたものだ。機器類は手荒く扱っても壊れないように設計されており、新しい機器を購入する予算は無いに等しい。機器の買い替えやアップグレードの機会はごく稀である。そして、このような機会がめぐってきても、ユーザーが伝送方式の互換性がない製品に手を伸ばすことは少ない。売る側は、単独メーカーの一連の製品にユーザーをしばりつけようする。アナログからデジタルへの転換が進行中であるが、市場のリーダーシップを握るメーカーによるデファクトスタンダードの構築も依然進んでおり、選択肢の幅は狭まっていく一方である(Brianのブログhttp://www.edn.com/briansbrainのなかの“Audio over CAT5:Proprietary alternatives and standardization efforts”を参照されたい)。
 より幅広い選択肢を、という思想は、インターネット配信の音楽を聴くリスナーや、サーバーに蓄積されている音楽ライブラリーを家庭やオフィスにLAN経由で音楽データを配信している業者を困らせる状況を招きかねない。従来から日常的に使用されている、安価なCAT5(カテゴリー5)ケーブルによるTCP/IPベースのイーサネットや、ケーブル接続が必要ないWiFi(Wireless Fidelity)は、100mあるいはそれ以上の距離の伝送を保証しており、これで十分と言えないのだろうか(囲み記事『ケーブルの選択肢』を参照)。技術がどんどん進歩している段階においては、こういう状況が起こることが確かにある。しかし、この時間に対して鈍感な大容量ファイル転送方式が、要求の厳しいオーディオ環境に最適といえないのも事実である。
 LANやWANに接続されたオーディオ受信機の再生ボタンを押すと、ローカルなバッファ・メモリーにデータを蓄えるために数秒の遅延がある。バッファは、プロトコル・オーバヘッドや避けようのないパケット経路遅延を補償するためにある。これがないと異常パケット受信が起こり、さらにひどいネットワークの回線混雑や、データ衝突、パケット損失を招いた結果、再送信やエラーへの対応が必要となってしまう。家庭用ネットワークの多くは負荷が低い。そしてビデオ・ストリーミングの普及に向けて急速に変化している状況である。しかし、業務用、産業用、プロ向けのネットワークでは状況は全く異なる。特に、マルチチャンネル、高分解能のオーディオ・データを制御データや一般的データ通信とともに扱う場合はなおさらである(Brianのブログhttp://www.edn.com/briansbrainのなかの“Audio over CAT5:Conventional counterparts”を参照されたい)。
 簡単に知覚できてしまうような音声遅延はライブ演奏の場合には許されない。レコーディング環境でも許されない場合が多い。「知覚できる」とはどういうことだろうか。米Gibson社の社長兼最高経営責任者(CEO)のHenry Juszkiewicz氏は、「大学の連中に言わせれば人間の目や耳、筋肉、脳は力を結集してピコ秒レベルの遅延を知覚できると言っているようだが、オーディオ技術者は、ネットワークのどのデータ区間でも起こる0.5msの遅延に対応に追われている。プロのミュージシャンが認識できる遅延(A-D変換やD-A変換、アナログおよびデジタルの処理アルゴリズムによる)はせいぜい2ms程度であり、一般聴衆であれば5ms以下の遅延すら知覚することは難しいにも関わらずだ」と述べている。(Brianのブログhttp://www.edn.com/briansbrainのなかの“Audio over CAT5:Devide and conquer”を参照されたい)。

「CobraNet」の襲来

 従来のTCP/IPベースのCAT5ケーブルは、今のところ、要求の厳しいオーディオ分野のニーズは満たさないかもしれないが、量産による低価格なCAT5装置は、ハードウエアやソフトウエア・メーカーにとって魅力的である。米Cirrus Logic社の「CobraNet」技術は、同社が2001年半ばに米Peak Audio社を買収したことで得た技術であり、オーディオ用CAT5市場のトップシェアを持つ同社にとって成熟した技術の一つである。CobraNetは、共通のネットワーク資源で他のイーサネットトラヒックと共存できるという点で注目に値する(図1)。 しかし、「その性能に制限がないわけではない」と、現在米Broadcom社のネットワーク設計者で、以前米Apple社の「Fire Wire」の設計部長だったMichael Johas Teener氏はいう。CobraNetは、同社が主張する性能を保証するために「制限付きのトポロジー」を採用していると同氏は見る。同氏の分析では、1つのエキストラ・スイッチ、すなわち、合法的だが「非CobraNet」の構成を採用しており品質は低いと見ている(囲み記事『その他のプロトコル』を参照)*1)
図1 米Cirrus Logic社のCobraNet (a)他のイーサネットトラヒックとの相互運用性、(b)最新の特定用途向け標準製品の普及型と、(c)オーディオDSPを含む改良型がある。

 CobraNetのプロトコルは1つ以上のオーディオ・チャンネルを、サンプルのデータ長やサンプリング速度等の識別データとともにイーサネットのパケットと結合する。さらに、RS-232データをイーサネット経由で受け渡したり、ユーザー定義の制御データを含む一般的なイーサネット パケットにより、制御情報を送ることも可能である。第一世代のCobraNet送受信モジュールは、FPGA(field programmable gate array)に作り込んだデジタル・ロジックと、旧米Motorola社(現在の米Freescale社)のDSP(digital signal processor)、アナログ回路からなる。第二世代のモジュールは、アナログ回路とデジタル回路を1つの「CS1810xx ASIC」とCirrus社のDSPに統合した(2×2、8×8、または、16×16チャンネルのモジュールが入手可能である)。Cirrus社はまた、DSPを含む「CS4961xx」シリーズを2005年1月のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(Consumer Electronics Show)に出品した。データ長、サンプリング速度、オーディオ・チャンネル数を多次元マトリクスでサポートしており、ユーザー・アプリケーションによって遅延時間が5.33ms、2.66ms、1.33msのモジュールをシリーズから選択できる。(Brianのブログhttp://www.edn.com/briansbrainのなかの“Audio over CAT5:interesting lit and other bits”を参照されたい。ユーザー向けに、計算に使える同社のスプレッドシートをダウンロードできる)。
 CobraNetは、48kHzと96kHzのサンプリング速度をサポートしているが、奇妙なことに、「Red Book Audio CD」が規定し、オーディオ周辺機器で一般的に採用されている標準のサンプリング速度44.1kHzとは異なる。また、32ビットのサンプリング・データ長にも対応しようとしている。同社のシニア・マーケティング・マネジャーを務めるDavid Parker氏によると、CobraNetは東京ディズニーランドにも導入されており、ここでは、ギガビット規模の光ファイバーイーサネットをバックボーンとして250ノード分の100Mビットイーサネット送受信装置を結合しているという。この統合ネットワークは、照明や乗り物の制御、レジのPOS(point of sales)端末、分散型およびライブのオーディオ放送に使用されている。「ディズニーランドは1年365日、休まず営業しており、どんなネットワーク障害も全施設の停止につながる」と同氏は言う。

「MaGIC」のチューンナップ

 米Gibson社がギター/アンプ間およびギター/ミキサー間インターフェースのデジタル化を検討していた頃は、CobraNetを使用するためには、チャンネル毎に前払いの特許使用料を払う必要があった。特許使用料収入の構想も意思決定者の頭の中にあったのか、同社は独自の道を進み、「MaGIC(media-accelerated global information carrier)」を生み出した。同社のウェブサイトでは、よくある質問(FAQ)やフルスペック、その他の資料とともに、約10分間の「Windows Media」形式のビデオ映像を提供している。そのなかで、MaGICについて、家庭向けの制御、マルチメディア、および汎用データ通信プロトコルとしての大胆なビジョンを紹介している。しかし、同社が2001年にビデオを制作した後に、他社や業界標準化団体が現在支配的な家電市場向けのプロトコルを開発した。これには米Apple社の「Bonjour」、UPnP(universal Plug and Play)、米Microsoft社の「PlaysForSure」、「Windows Media Extenders」が含まれる。
 それでもGibson社は、自社の手法が業務用、産業用、およびプロ用のオーディオ・セッティングでは利点があると信じている。MaGICは32チャンネルの32ビット双方向オーディオ通信をサンプリング速度192kHzで、100Mビットイーサネット上で提供している(チャンネル数の増加に伴って、サンプリング速度は低下する)。同社は、データおよび制御データの転送はMIDI(musical-instrument digital interface)の30〜3万倍速いと主張している。増設のケーブルはファントムパワーと自動クロック、ネットワーク同期を提供する。そして、MaGICのスペックではCAT5の100mの距離でのポイント・ツー・ポイント遅延が250μsである点を最大のセールスポイントとしている。
 しかし、このような顕著な性能スペックは、イーサネットとの完全な互換性を犠牲にして得たものである。MaGICはIEEE802.3の物理レイヤーに準拠し、標準CATケーブルとRJ45コネクターを使用する(耐久性を高めた米Neutrik社のEtherConコネクターでもよい)。しかし、パケットの大きさが従来とは異なり、独自のMAC(media-access-control)を実装する必要がある。同社のウェブサイトのFAQには、「パケット・サイズはイーサネットのUDP(User Datagram Protocol)と同じである。自社のパケット・サイズと伝送速度は変わらないので、標準のイーサネットとは異なる。(中略)レイヤー2のMACレイヤーを経由している。データをパケットではなく、このレイヤーのフレームと見なしている。MACレイヤーの一部はソフトウエアに組み込める」とある*2)
 同社は、特許使用料が10年間無料のMaGICライセンスを、興味を持ったすべての団体に提供している。業界標準の接続手法として、このプロトコルの関心を高めたいと考えている。250米ドルのソフトウエア開発キットと、600米ドルの評価ボードを入手することができ、これらは、米Altera社および米Xilinx社のFPGAを対象として、CobraNet送受信機能をVHDL(VHSIC Hardware Description Language)言語により実現するものである。Juszkiewicz氏は、大量用途で目標コストを達成するためには、最新のASIC(application specific integrated circuits)による実現が必要と認める。さらに、将来、「ギガビットイーサネット」の伝送速度を目標としたCobraNetチップにMaGICのプロトコルをサポートする交渉をしているという(これについては、米Cirrus社は何もコメントしていない)。2002年末に生産されるはずだったデジタル・ギターはどこに行ったのだろう(Brianのブログhttp://www.edn.com/briansbrainのなかの“Audio over CAT5:Hands-on jams”を参照されたい)。プロトタイプは数年前に存在したが、今、同社は、パートナー企業の開発による、MaGICの能力を反映した究極のピックアップ待ちの状態にある。この製品は、それぞれの弦を単独のオーディオ・チャンネルに対応させる機能を搭載しているという。

もう一つの選択肢

 仏Digigram社の「EtherSound」は、現在、CobraNetと競合する唯一の製品といえる。MaGICと同様に、Ether SoundはイーサネットのPHYレイヤーと互換性があるが、独自のMACが必要である。また、従来のバス・トポロジーやリング・トポロジーをサポートしておらず、デイジーチェーンあるいはスター型のアーキテクチャ(レイヤー2のスイッチに基づいており、レイヤー3以上のスイッチはサポートされていない)、または、これら2つの手法を混合したアーキテクチャが必要である(図2)。
図2 EtherSoundの構成
各フレームは、64チャンネル分のオーディオ・データに相当するコマンド・パケットを結合している。

 しかし、これらの制約のおかげで遅延時間は小さく、そして一意に決まる。親モジュールのシリアル入力と、次の子モジュールのシリアル出力間のオーディオ伝送にかかる時間は、48kHzのサンプリング速度で6サンプル分の125μsである。デイジーチェーン型のEtherSoundモジュールを経路に加えるごとに約1.5μsの遅延を生じる(囲み記事『ワイヤレスはどうなるか』参照)。EtherSoundは同期型ネットワークである。第1の親モジュールがネットワークのオーディオ・クロックを生成する。これを下流にある各EtherSound装置のオーディオ・クロックが引き出し、一貫した位相が必要なアプリケーションにおいては同期が取られる。
 EtherSoundのバージョン1.0プロトコルは、1フレーム2パケットである。最初のパケットにコマンド情報を含み、次のパケットに64チャンネル分のオーディオ情報が含まれる。各チャンネルのサンプルリング・データ長は24ビットである。EtherSoundが認めているサンプリング速度は、本来、44.1kHzと48 kHzである。88.2kHz、96kHz、192 kHzといったより高いサンプリング速度のオーディオ・データでは、1フレーム内にマルチチャンネルを導入する。100MbpsのEtherSoundネットワークでは、さまざまな組み合わせのオーディオ・データを送ることが可能である。例えば、48kHzで64チャンネル分のオーディオ・データ、または、48kHzのオーディオ・データ62チャンネル分と96kHzを1チャンネル分、さらには192kHzのオーディオ・データ16チャンネル分までを送ることができる。
 生産までの時間短縮用に、ライセンス契約により、ソフトウエア開発キット、ソース、オブジェクト・コード、評価ボード、米Xilinx社のFPGA「Spartan-IIe」向けのリファレンス設計2種等を入手できる。米Digigram社は、さまざまな種類の多数のアナログ入出力形式を装備したEtherSound用の送受信装置を「miXart8 ES」PCサウンド・カードとともに多数販売している。現在計画中の100Mビットへの拡張では、双方向のデイジーチェーンをネットワーク上のどこにでも定義できる機能が加わり、米Xilinx社のFPGA「Spartan-3」を対象に、普遍的なネットワーク管理、リング型の冗長ネットワーク、ネットワーク・クロックをどの装置からでも生成できる機能をサポートする。また、米Cirrus社や米Gibson社と同様に、将来の拡張計画として「Gigabitイーサネット」を視野に入れ、標準のイーサネット構成を、ビデオデータと一般データ等の付加的なメディア伝送とともにサポートする計画である。

「単純さ」に注目

 Garth Wiebe氏は、ライブ音楽に関わる人々が出費できる額は限られているという仮説のもとに米AudioRail Technologies社を設立した。「ユーザーは学校や教会、音楽関連の小規模な組織、劇場、会議場など、多種多様だ。大きな音楽関連企業やコンサート会場もあるが、大半は小規模の予算の少ない組織が占めている」と同氏は説明する。そのことを考慮して、同氏は、基本のM11プロトコルを開発した。時分割多重による4ビット、25MHzのデータ・ストリームである。「AudioRail」は、イーサネット送受信装置を使用し、イーサネットのMACを単純なFPGAベースのプログラマブル・ロジック設計に置き換えた。
 同氏によれば、その結果、他のリアルタイム・ネットワーク・オーディオ装置と比べて格安で信頼性の高い製品が開発できたという。「現場での故障は今までまったくない」と同氏は言い切る。「機能不良を訴えるユーザーはいない。そして、我々は国内に加えて全世界の国々にユーザーを抱えている」と同氏は言う。AudioRailのコストと信頼性への要求の高さが分かるだろう。同社のウェブサイトでは、同社および競合企業の技術と製品を詳細に説明している。500米ドルの「ADAT(Alesis digital-audio tape)rx32tx32」はラックに収納可能な装置で、4入力4出力からなる8チャンネルのADAT「light-pipe」光コネクタを持つ(図3)。各light-pipeは、16〜24ビット、48 kHzの8チャンネルのオーディオ・データを伝送でき、合計で24ビット、48kHzのオーディオ・データ64チャンネル分を、AudioRailの各デュアルCAT5接続を介して伝送できる(Brianのブログhttp://www.edn.com/briansbrainのなかの“Audio over CAT5:Other approaches”を参照されたい)。
図3 米AudioRail Technologies社の送受信装置
ADATと同社独自の安価なMIIプロトコルを接続している。

 AudioRailの遅延時間は、競合企業と同様に、約5μs、厳密にはエンド・ツー・エンドで、4.5μs+0.25μs/ホップ+0005μs/mと小さい。「柔軟性と汎用性を与えるが問題にもなる特性が一つある。それは、AudioRailのデジタル・オーディオ・ストリームがすべて送信元に従った個別のクロックで送られることである。AudioRailは、簡単に言えば、テープでまとめたデジタル・オーディオ・ケーブルの束である。共通クロックがない。利点である柔軟性と汎用性とは、同一のCAT5ケーブルを介して異なるサンプリング速度のクロックで伝送できることである。問題点は、デジタル・オーディオ・システムが1システムしかない場合、全装置が同一のAudioRail装置に適切に接続されているとしても、クロック・マスターからオフ状態かどうか確認しなければならない点である。ちょっとした作業の追加と、終端ごとに装置のクロックを統一するためのエクストラ・ショート・ワード・クロックBNCケーブルが必要かもしれない」と同氏は忠告している。

ケーブルの選択肢

 CAT5(カテゴリー5)の100mという距離制限は短すぎるだろうか。光ファイバーを考えてみよう。米Cirrus Logic社の「CobraNet」の文献では、マルチモード・ファイバで2km、シングルモード・ファイバで100kmの信頼性の高い伝送が可能であると強調されている。光ファイバ・ケーブルは、電気的な配線手法(長距離、短距離を問わず)と異なり、電磁場を生じさせず、他の電磁場発生源からの干渉を受けない。
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その他のプロトコル

 CAT5ケーブルのコストの低さと長距離伝送能力は、オーディオ・データ形式にとって、非常に魅力的な選択肢である。米Analog Devices社のDSPマーケティング・プログラム・マネジャー(元MIDIソフトウエア・プロバイダーの米Staccato Systems社の企業マーケティング・マネジャー)のDenis Labrecque氏によれば、米MIDI Manufacturers Associationは、CAT5を介したMIDI伝送の標準化を進めている。同協会は情報提供に応じず、ウェブサイトでは、IEEE-1394を介したMIDI仕様のみを公開している。
 CAT5ケーブルによる「FireWire」符号化オーディオ・データも可能性がある。FireWireオーディオのパイオニアBob Moses氏は、米Wavefront Semiconductor社の副社長兼エンジニアリング・ディレクターとして冒険的事業を推し進めている。同氏は、「私の知る限り、FireWire装置を使用したCAT5によるオーディオ伝送を構築したのは今のところ私だけだ」と語る。そして実際2台作ったという。さらに同氏は「2番目のリファレンス設計は、新規の「DiceII Fire Wire」オーディオ・チップ用の評価モジュールである。400 MbpsをCAT6で、200MbpsをCAT5eで、100MbpsをCAT5で伝送する計画だ。このソリューションはイーサネットによるソリューションよりもずっと安価で済むだろう。ユーザーはイーサネットを介した他のオーディオでは得られないFireWireのアイソクロナス伝送のメリットを享受することができる」と述べている。
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ワイヤレスはどうなるか

 ステージ上のギター奏者が、さらに付け加えれば、歌手やその他のミュージシャンの多くが近年「ワイヤレスへ向かっている」と仮定すると、ギターをCAT5(カテゴリー5)ケーブルで束縛するという考え方は古臭く感じられる。米Gibson社の「MaGIC」ビジネス開発担当副社長David Mayne氏は、次のように指摘する。「我々は遅延時間の短さと100%のサービス品質(QOS:quality of service)に集中する。本質的に設計上でワイヤレス伝送を妨げるものはないが、ワイヤレスのオプションは我々が期待するQOSには達しない。」同社は、ワイヤレスの利点を認識しているし、束縛されないという選択肢があり続けることを期待してはいる。しかし、同社は品質を最優先する。最高経営責任者(CEO)兼会長のHenry Juszkiewicz氏は超広帯域UWB(ultrawideband)を、干渉への耐性と遅延時間の予測という観点から、現在の2.4GHzおよび5.2GHzのWiFi(Wireless Fidelity)の「大きな希望」と見る。
 米AudioRail Technologies社の設立者であるGarth Wiebe氏も、業務用、産業用、およびプロ用オーディオにおけるワイヤレス伝送についてJuszkiewicz氏の考えに同意する。「ワイヤレスには落とし穴がたくさんある。ワイヤレスを考えるならば、信号の脱落やデータの再送を考慮しなければならない。データの場合は問題ないが、ライブ音はどうにもならない。これらを補償するためには、理屈では大容量のバッファを設ける必要があり、これは遅延時間の増大をまねく。これは受け入れられるものではない」。
 ビデオデータに議論を広げると、米Broad com社のネットワーク・システム設計者Michael Johas Teener氏は、「ワイヤレスのサービス品質は、HD品質のビデオには不適格である。シングル接続ポイントのドメインでの数10msの待ち時間は長すぎる。メッシュ状のネットワークあるいは通常の家庭環境ではもっと悪化し、パケット損失に至る可能性もある」*A)。例えば、米Belkin社が独自のワイヤレス伝送方式を採用したのはこの理由による。これは、「RemoteAV」送受信セット用の「Magis Networks」チップセットに基づいている。

参考文献
*A) http://grouper.ieee.org/groups/802/3/tutorial/mar05/tutorial_1_0305.pdf

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用語解説 / 会社情報
*1)参考文献
http://grouper.ieee.org/groups/802/3/tutorial/mar05/tutorial_1_0305.pdf
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*2)参考文献
http://www.gibsonmagic.com/MaGICfaq.pdf
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