MATLABとSimulinkの進化
1984年にCleve Moler、Jack LittleおよびSteve Bangertの3人が米MathWorks社を設立した。会社の目的は「MATLAB」の製品化だった。コンピュータ・サイエンティストであったMoler氏は、1970年代の後半、FortranでMATLABを開発した。Little氏とBangert氏は、そのプログラムをC言語に変換し、会社設立の少し前にパソコンに移植したのだ。MATLABは、技術計算用の高級言語で、アルゴリズム開発、データの可視化、データ解析および数値計算のための対話型環境を実現している。
MATLABによって、ユーザーは従来のプログラミング方式よりも早く、また信号および画像処理、通信、制御系設計、試験と計測、金融モデリングと解析、計算生物学などを含む幅広いアプリケーションにおいて、技術計算問題を解くことができるようになった。また、作業の文書化や共有化のための多くの機能を提供し、ユーザーはMATLABのコードをほかの言語やアプリケーションと統合化することができる。
MathWorks社のもう一つの製品である「Simulink」は、ダイナミックシステムのマルチドメイン・シミュレーション、およびモデルベース設計のためのプラットフォームである。Simulinkは、対話型のグラフィカル環境および、MATLABを使用して解決するのと同じシステムの正確な設計、シミュレーション、実装、テストを行うカスタマイズ可能なブロック・ライブラリー群をユーザーに提供できる。
2004年、Mentor社とMathWorks社は、Simulinkを「ModelSim」とリンクさせ、技術者がアルゴリズムとハードウエアの実装の両方を同時にシミュレーションすることができるような方法を開発した。2004年のEDA部門のEDNイノベーションアワードを受賞した製品「Link for ModelSim」は、VerilogあるいはVHDLに、MATLABとSimulinkを同時に、直接混在できる言語シミュレーションを行う機能を付加することによって、アルゴリズムとハードウエア実装の間のギャップを埋めたものである。
最近英ARM社が買収した米Axys Design Automation社の共同設立者であるVojin Zivojnovic氏は、「MATLABは、ほとんどユーザーが、意識することなく信号処理や制御システムの数学的理論を現実の動作に変換するソフトウェアツールである」と説明する。ツールは60年代および70年代の初期の統計ライブラリーから着実に進化した。MATLABは20年間で、学術分野での主たる利用から産業分野にも広がり、テクニカル・ソフトウェアマーケットにおける最大のユーザー・コミュニティを形成している。
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