有機ELディスプレイのマトリックス方式
有機ELディスプレイのピクセルアレイを形成する基本的な方法には、パッシブマトリックス式(PMOLED)とアクティブマトリックス式(AMOLED)がある。これらの2つの方式は、LED構造(図A)はほぼ共通だが、各セルのアドレス指定方法が異なる。電子はカソードからアノードに流れ、正孔は逆の流れとなる。再結合により、有機発光材層でフォトンを放出する。従って、出力される光は光学損失を除いて電流に比例する。
2種類の有機ELの違い
このようなピクセル構造の利点は、LCDなどをはじめとするほかの薄型ディスプレイ技術と比較するとよく分かる。LCDはバックライトを必要とし、シャッターのようなピクセルを使用してディスプレイの光の透過を部分的に調節する。エネルギーの観点からすれば、この手法はアクセルを一杯に踏み込み、ブレーキでスピードを調整するようなものである。一方、有機ELは画像を形成するために必要な光を生成する。これは、望むスピードを実現する分だけ、エンジンスロットルを開けることと似ている。有機ELとLCDのバックライトは、同じ効率でフォトンを生成するわけではない。しかしながら、LCDのバックライトが放出する多くのフォトンは、外には出て行かない。従って、有機ELディスプレイのほうが全体のエネルギー効率は高くなる。
2種類ある有機ELディスプレイの違いは、ピクセルをどうアドレス指定するかだ。パッシブ型ディスプレイでは、列(ロウ)と行(カラム)の導線でマトリックスを形成する。製造過程では、各交差個所においてマトリックス導線の間隔で有機EL構造を形成する。ディスプレイ・コントローラーが列の導線をスキャンするときに、点灯ピクセルを含む行の導線に電流が流れる。しかしながら、ピクセルはコントローラーがその列の導線をアドレスしている間だけしか点灯しない。つまり、電流のデューティーサイクルは列の導線の数に反比例し、ピーク電流は同じ導線の数に正比例する。私たちが感じる明るさは、電流がフレーム間隔全体に行き渡る時間積分に比例する。次のフレームに移る間に、コントローラーはピクセルをリフレッシュするが、見ている人に画像が持続しているような印象を与える。
アクティブ方式のメリット
アクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)は、各ピクセルにTFT(薄膜トランジスタ)を使用し、フレームとフレームの間の時間だけ駆動信号を保持する。コントローラーは、PMOLEDの場合と同様、列の導線をスキャンするがリフレッシュの間、持続しているゲート駆動電圧でピクセルをプログラムする。TFTピクセル制御は、OLED電流を設定、維持する。ピーク電流や平均電流は、フレームを通じて同じである。AMOLEDの電流は、n列のPMOLEDの電流の1/nなので、カソードやアノードおよびマトリックスにおける抵抗性損失は、ほぼ比例して減少する。
エネルギー効率の向上だけがAMOLED構造のメリットではない。大型ディスプレイでのデューティーサイクルを短縮するため、PMOLEDではおよそ200本の列に制限される。この数字は正確なものでも確定値でもない。プロセス技術の向上と発光ポリマーの化学的特性の改善により、増加する可能性がある。しかし、現在どのプロセスと化学的特性でも、現実的な列の最大数は限られている。アクティブマトリックス式素子はこのような制限がない。製造上の不良やコントローラーの能力によって制限はされるものの、多くのメーカーでは、大型ディスプレイへの採用が期待されている。
AMOLDのそのほかのメリットは、ピーク電流対平均電流の比がPMOLEDのピクセルではn対1であるのに対し単一であることだ。この違いは電流密度に比例する経時効果に関係してくる。
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