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Chales J Murray Design News誌 |
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| 写真1 Tesla Motors社が開発中の「Model S」 |
米Tesla Motors社は、1回の充電による走行距離が300マイル(約483km)に達する新型電気自動車「Model S」を開発している(写真1)。北米の2次電池の専門家たちは、このModel Sが、高性能2次電池や、軽量かつ高剛性の素材を用いて開発される電気自動車技術の試金石の1つになると見ている。
2011年に発売予定のModel Sが、電気自動車関連の技術者の注目を集めている理由は、その4万9900米ドルという価格と、飛躍的に伸びた走行距離にある。また、Tesla社は2009年6月に米国エネルギー省から4億6500万米ドルの低利融資を受け、そのうち3億6500万米ドルをModel Sに充てるというニュースが流れたことから、期待は一層膨らんでいる。
しかし、Model Sの開発でTesla社の技術者が直面する課題は決して小さくない。比較してみればわかるが、Tesla社の電気自動車の前モデル「Tesla Roadster」は、価格は10万1500米ドルで、1回の充電による走行距離は244マイル(約393km)と、Model Sの2倍もの価格で走行距離は短かった。また、三菱自動車の電気自動車「i-MiEV」を例にとると、その価格は約4万7000米ドルでModel Sと同等だが、走行距離は100マイル(約161km)と約1/3しかない。このような圧倒的な差を見ると、Model Sは夢のようなものに思えるかもしれないが、2次電池の専門家たちによれば、「さほど非現実的でもない」という。
そうした専門家の1人が、電気自動車のコンサルタント会社であるカナダDHS Engineering社で社長を務めるDavid Swan氏である。同氏は、1990年代に最高速度394km/hをマークした米White Lightningチームの伝説的電気自動車の2次電池システムを設計したことで知られる。また、同氏自身、3台の電気自動車を所有している。その氏が言うには、「Tesla社の技術目標は、やればできる範囲だ。ただそこに到達するには、あらゆる点でかなりの苦労が必要だろう」とのことだ。
また、2次電池を専門とするほかの人の意見によれば、Tesla社が目標を達成するには、現時点で入手可能な最先端のリチウムイオン電池以上の技術が必要になるという。2次電池技術をさらに進化させ、なおかつ車両重量を抑えるために、より頑強で軽量のボディを作れる材料が必要になる。
マサチューセッツ工科大学で材料化学分野の教授を務めるDonald Sadoway氏は、「強化アルミニウムやガラス繊維などの材料を中心にボディを作り、ほかの重い部品についてはある程度妥協すれば実現できる可能性はある。しかし、こうしたことと低価格化の両立は難しいだろう」と予想する。一方、リチウムイオン電池については、「現在の最高の2次電池技術をもってすれば、どうにか1回の充電で300マイルを走行することは可能であろう」(Sadoway氏)と述べている。
同氏の電気自動車に関する経験則によると、2次電池が車両重量の約30%を占めると仮定した場合、電気駆動のセダンが1マイル走行するのに必要なエネルギーは約1Wh/kgとなる。このルールに基づけば、今日の最先端のリチウムイオン電池を使うことにより、Model Sのような4ドアセダン車は、1回の充電で175マイル(約282km)を走行できる可能性がある。荷室などの車内スペースを犠牲にしてでも搭載する2次電池の数を増やせば、走行距離をさらに伸ばすことも可能だろう。「車両重量の40%を2次電池に充てるならば、実現の可能性はさらに高まる」とSadoway氏は語る。同氏は「あくまでも私見だが」と断りつつ、「Model Sでは、Tesla Roadsterに搭載したものよりずっと高性能なリチウムイオン電池を大量に積み込むことになるだろう」とも述べている。
しかし、専門家の間では、2次電池を多く搭載すればそれだけコストも増大するというのが一般的な認識である。Swan氏の推定では、走行距離300マイルのModel Sには、少なくとも総容量が50kWh~60kWh、重量が600ポンド(約272kg)の2次電池を搭載する必要があり、それが大幅なコスト増につながる可能性がある。Design News誌が2008年に、5人の2次電池の専門家に対して実施した非公式の調査によれば、最先端のリチウムイオン電池の1kWh当たりの価格は500~1000米ドルであった。これを前提とすれば、50kWhのリチウムイオン電池の価格は、2万5000米ドル以上にもなる。
それでも、2次電池の専門家はModel Sの行く末を楽観的に見ている。Tesla社が、最終的には1回の充電による走行距離を短く設定し直すだろうし、発売当初は購入者に補助金が出ることが考えられるからだ。
Swan氏は、「300マイルの走行距離は決して不可能な数字ではない」と述べる。ただし、「200マイル(約322km)程度にすれば、達成はさらに容易になるだろう」(同氏)とも口にしている。

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